第75話 路地裏へ
王都歓楽街
冥王の影から飛び出したNo.20ヂェーン、No.77ジェイ、No.99ドーンはオカメ面を被り、歓楽街の一際高い建物の屋上から下を見下ろしている。
「馬鹿と何とかは高いところがお好きってね」
No.20ヂェーンがニヤリとしながら言う。
「ケケ! 確かに俺らにはお似合いだな〜」
No.77ジェイが笑いながら答える。
「確かに俺らにはお似合いだな〜」
No.99ドーンも同じことを言う。
「それじゃ、あたしはあのコソ泥の坊やね」
「俺はカジノに行ったガキだな」
No.20ヂェーン、No.77ジェイがそれぞれの目標について言う。
「…………」
「ドーンの旦那はパフォーマンスのガキだろ?」
無言のNo.99ドーンにNo.77ジェイが確認する。
「ドーンの旦那はパフォーマンスのガキだろ?」
No.99ドーンはNo.77ジェイの言葉を繰り返す。
「それじゃ、行くとするかい!」
No.20ヂェーンが叫ぶ。
「「「全て冥王様の御心のままに!」」」
◇◆◇
王都商業地区
「へっへっへ。これなら、目標は何とかなるな」
ディルはニヤつきながら呟く。ディルの脳裏にはいつも突っかかてくる勝気で痩せこけた少女の姿が目に浮かぶ。
『シスターだけにそんなことはさせないからね!』
そう叫ぶ少女の諦めた笑顔が胸を締めつける。
--アイツは生意気なこと言ってりゃいいんだよ!
そう思った瞬間だった。ディルは自分の懐が軽くなった気がした。
--くそっ! せっかく集めた金が!
後ろを振り返ると襤褸をまとった女が走り去って行く。
--ふざけるな!
ディルは女の後を追いかけるのだった。
◇◆◇
路地裏に入って行った女をディルは追いかける。
「おい! 金を返せ!」
行き止まりに追い詰めたディルは、女を怒鳴りつける。
襤褸をまとった女が振り返る。襤褸の下からは赤毛で軽装で身を包み、短剣を持っている様子だ。そして、オカメ面を被っている。
--何だ? この女は?
「ふふっ。これで分かるだろう?」
女はオカメ面をずらして額を見せる。髑髏の額とそこに書かれている『20』の数字が見えた。
--ノーライフ・ソルジャーズの上位じゃねえか! こんなのに目をつけられたら、ただじゃ済まねえ……
数日前に担任となった冥王。その直属の『ノーライフ・ソルジャーズ』。103体のアンデッドたちで構成され、数字が低いほど強力なアンデッドとされる。
「おやおや、まさか、逃げるってわけじゃないだろうねえ? コレのための金なんだろう? 尻尾巻いて逃げるなんて、あんたの想いはその程度って事かい?」
No.20は左手の小指を立ててディルを挑発する。
「あたしから取り返せたら、ご褒美あげるよ! あんたの想いをあたしに示して見せな!」
No.20は短剣を抜き、ディルに襲いかかるのだった……。
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