ドゥーム界(設定資料)
桜月旬也
ドゥーム世界発生の概略
今から約6億年前、それまで衛星を持たなかった地球に、太陽系を超楕円軌道で巡っていた遊星(巨大彗星):セイヨラ(ウズベク語の惑星=sayyoraより命名)が大接近し、地球の重力圏に捉えられ、後に月と呼ばれる衛星として獲得されたところから物語は始まる。
この大事件の結果の相違により次元分岐したのが地球とその異次元相同世界(並列宇宙)のドゥームである。
地球では、接近してきたセイヨラは、その一部を流星の形で地球の大気圏突入で吸収され、一部が太陽重力に引かれて太陽に吸収され、残り部分が地球に接近し、その重力圏に捉えられ、月として軌道上に安定した、という歴史をたどる。
ドゥームでは、セイヨラは地球への最接近に伴い、一部が流星化して地球に突入し吸収され、一部が太陽の重力にとらえられ吸収され、残りの部分が地球の重力圏に捉えられたところまでは一緒だが、その結果、引力の変動による圧力の変化に地核が耐え切れず遊星は自壊し、ある部分は流星として更に地球に降りそそぎ吸収され、ある部分は大の月:ブーラン・バサルとなり、またある部分は小の月:レンブラ・シーラとなり、残りの部分は多量の破片に分裂し、最終的にドゥームを取り巻く数多の岩石リングとしてドゥームの重力圏にとらえられ、約1億年かけて徐々に安定していく事になった。
その結果、それまで太陽潮しか持たなかった為、緩やかな自転の減速しかなったドゥームは、大の月、小の月及び岩石リングの引力によって構成される複雑な太陰潮も持つこととなり、急速に自転速度を落とし、一日の長さが長くなることとなった。
余談だが、セイヨラ最接近時点では、約20時間/日程度だったドゥームの自転速度は、その後、約5億年の減速で約24時間/日程になるに至っている。
この結果、ドゥームの生き物は、その中の生体部品の持つ変化への対応力の差によって20~24時間の範囲で機能する体内時計を持つ生物が多く存在する事となった。
このセイヨラの崩壊とドゥーム軌道への合流は、現地生態系にも重大かつ深刻な影響を与えた。
特に、当時進化の最先端にあって、環境の変化への高い受容性・対応性も持っていた生命体である脊椎生物に大きな影響を与える事となった。
すなわち、セイヨラの崩壊は、その周辺空域に多量の乱数的なエネルギーノイズをまき散らす事となり、それが周辺空域に存在した原物質(オリジン)を刺激し、膨大な魔素・魔力を発生させる事となった。
その結果、当時のドゥームにあった地球型原始脊椎生物は、至近とも言うべき距離で、大量の魔素・魔力の影響を長期間にわたってさらされる事となり、その結果として、ジーン(遺伝子)に、ドゥーム型魔素受容組織の萌芽を生じさせる事となった。
これにより地球型と分岐したドゥーム型原始脊椎生物は、体内に原始的とは言え魔素受容組織を持つことになり、それまでの生命の魔素をエネルギー源としない生命に対して、一定のアドバンテージを持って進化していくことになる。
それが生命爆発とも称されるほど多様性の富んだ生命の多様化の発生へとつながって行く事となるのだった。
因みに、同じ様な刺激による現象はセイヨラが分裂せず月として安定した地球でも生じており、これを一般にカンブリア大爆発と言う。
その後、ドゥーム型魔素受容組織を持つ生命体は、そのアドバンテージによって旧来の生命体を駆逐しつつ繫栄していき、地球型生命と魔素受容組織の有無を除けば相同の進化を着実に進めていく事になり、ついには、人類の発生へと続いていった。
それまでのドゥーム型生命は、その本能による欲求に基づき、純粋なエネルギー源として、魔素・魔力を利用するに過ぎなかったが、人類の発生と文明の発展に伴い、その活用法が大きく転換していくことになる。
すなわち、ドゥーム型人類による魔法文明の勃興である。
当時、進化の最先端にあって、身体的な強靭さより思考的な強靭さを強化する方向に進化していたドゥーム人類は、その生息域を競合する強力なライバル生物との闘争に敗れ、絶滅の淵に立たされていた。
しかし、ある時、進化した思考能力に基づく精神エネルギーの発露によって起動されたドゥーム型魔素受容組織がオリジン(原物質)を刺激し、原始的ながらも魔法の発現に成功する。通常の物理的な法則に基づくものよりもはるかに強力な力を発現する方法を発見した人類は、これを使って勢力を盛り返していく事になった。
これが無属性(身体強化)魔法の発見である。
当時の状況に関しては、文字などは未だ発明されておらず、詳細な記録など望み得るべくもないが、穴居居住地跡の洞窟などに残された壁画などによる記録から、当時は、現在主流である属性魔法では無く、無属性魔法によって、身体能力を強化して狩や闘争を有利に導いていた事がわかっている。
この後、ドゥーム人類は、数多の文明の興亡を繰り返し、現在への道を歩むこととなるのだった。
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