黒ヒョウと青い鳥

@yuuriki

過去からの恐怖

 2人が一緒に寝ていたある夜のことだった。女の子の方が起き上がった。男の子の方を見て、少し悲しそうな顔をしてその場を離れた。女の子がその場からいなくなったことを確認すると、男の子も静かに目を開け、起き上がった。そして、女の子の元へと向かった。

「う、ひっく…ぐすっ、うぅっ…」

女の子の泣き声が聞こえてきた。

 男の子がそこへ行くと、泣いている女の子の姿があった。男の子は、女の子にそっと、

「どうして泣いてんの…?」

女の子は動揺して、

「あっ、あのね、目にゴミが入っちゃったの。も、もう、いたく…ないからっ。」

涙をふきながら女の子は言ったが、まゆを潜めて言った。

「ねぇ、本当にどうしたの?俺に嘘は通じないよ…?」

女の子は、また泣き出してしまった。そして、うつむきながら、こう言った。

「あのね、こわいんだよ…。」

男の子は首を傾げながら言った。

「なにが?怖い人でもいるの…?」

女の子は、首を横に振りながら震えた声で言った。

「あのね、違うの。誰かが怖いわけじゃないの。私ね、君を失うことが怖いんだよ。君はいつも、大切な人を守るために危険なことを頑張ってしてる。けど、今日みたいに怪我をするとこを見るのは嫌なの…。次は怪我だけじゃ済まないかも…。」

泣きながら話す女の子に、男の子は、後ろからキュッと抱きついた。そしてこう言った。

「俺が強いのは、お前が一番知ってるだろ?それと、約束する。君がいる限り、俺は死なない。そして、君の元へ帰ってくる。なっ?」

男の子は笑顔で言った。それで安心したのか、女の子は泣き止んで、

「うんっ!約束だからね。」

と言った。そのあと、すぐに男の子は寝てしまった。女の子は、自分も寝ようとした。

 女の子は、寝る前に呟いた。

「私はあの頃みたいにひとりぼっちはやだよ…。」

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