第二十一話 友人、襲来。


今日は三、四限しかない日だから早く終わったな。

もう家着いちゃったか。

まあ、もうすぐ彼女も帰ってくるだろうし、気長に待つか―――。


「ただいまですー…」

「お、おかえり」

「あれ、今日は帰り早いんですね」

「そんなことよりおすすめの本、なんかない!?」

「うぇえ!?いきなりどうしたんですか!」

「いやね、今日午前中空いてたから君の本読んでたんだよ。そしたらめちゃくちゃはまっちゃってさ」

「なるほど。じゃあこの本とかいいんじゃ?あと―――」

「ん?」

「呼び方」


ああ、どおりでさっきから膨れ顔してたのか。


「結奈ちゃんありがとね!」

「あ、いいいいいいいえ!!!」


だからやらせておいてその反応はなんなんだ。

自爆してるじゃん。


「こ、こんなことしてないでささっと夜ご飯に―――っとそうでした。今日は私たちだけじゃないんでした!!」



そう、遡ること4時間ほど前………。


「今日こそお前ん家行っていいか!?」

「だめ」

「なんで!?今日は事前に許可とってるやん!!」

「なんかやだ」

「え、俺のこと嫌い??」


取り敢えず彼女に言ってみるか。多分無理だろうけど。


『いいですよ』


めっちゃあっさりGOサインでたわ、なんで???

まあいいか。彼女がいいなら断る義理はないしな。


「わかった、いいぞ」

「マジ!?っしゃ!!」

「なんでそんな嬉しそうなんだよ」

「なんか女の匂いを感じるから」


え、怖いしキモイ。

今からでも断ろうかな。


「やっぱ―――」

「じゃ、18:00くらいに行くから!!」


もう行きやがったし…。

ま、いいか。


「えーっと、名前何でしたっけ」

「山中、山中隼。あいつなら呼び捨てで呼んでも構わんぞ」

「いやいや、年上なんですから呼び捨てはだめですよ!!!」

「律儀だねえ」


「こんばんわー!!!」

「襲来したか………」

「そんな使徒みたいな言い方」

「取り敢えず俺が追い出してくるわ」

「いや何でですか!?」


冗談を交えつつ、隼を迎え入れる。


「おっじゃましまーす!!!おお、結構広いな」

「お前が住んでるとこはここより狭いのか?」

「そうだな。9畳くらいはありs―――は???????」



………あ、彼女がいること伝えてなかったわ。



「え、は??だ、だだだだだ誰!?!?!?このめっちゃ可愛い家政婦なに!?」

「この前も聞いたなそのワード」

「あ、こんばんは」

「こ、こんばんは…!」

「今日は何をしにお兄さんの家に?」

「あ、一緒に飯でもーと思ってさ!!」

「じゃあ、せっかくですから私が作ったご飯、食べていきます?」

「マジ!?」

「もちろん、大マジですよ」

「ここに女神がいる…」


展開早すぎてついていけなかったけど、一緒にご飯って言った?

いや初耳情報。

そしてこいつは何で涙流してんの???


(そういえば、何でOKしたの?)

(そりゃあ、お兄さんの友達って言われると、見てみたかったですし。)

(意外と単純な理由なのね。)

(何か文句でも?)

(全然ないよ。)

(じゃあいいじゃないですか!!)


「二人で何話してるの~?」

「なんでもないですよ!さっ、今から料理するのでしばしお待ちを」

「はーい!」


こいつ、めっちゃウキウキしてるな。

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