004
「ねえ、夏菜のお父さんって会社経営してるって言ってなかった?」
「うん?してるよ」
「もー、そこで雇ってよぉ」
「あんたねぇ……」
「そういえば、夏菜は別の会社に就職したよね。お父さんの会社手伝わなくていいの?」
私の問いに、夏菜はため息深く一蹴した。
「いやよ、何で好き好んで家族と働かなくちゃいけないのよ」
「そういうもの?」
「そういうものよ!」
ふん、と鼻息荒くする夏菜だけど、未だ内定ゼロの私には羨ましくて仕方ない。
ま、夏菜のお父さんの会社がどんな会社かまったく知らないけれど。
「まあいいじゃない。親のすねをかじれるだけかじっておきなさいよ」
「ううっ。それももう時間の問題かも。かなり親からプレッシャーかけられてるよ。このままじゃニートになっちゃう」
泣き真似をする私を夏菜はカラカラと笑い飛ばし、じゃあまた電話するわ~と陽気に会話は終了した。
夏菜と話したことでほんの少しだけやる気になった私は、また求人情報とにらめっこしたのだった。
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