短編or超短編小説集。

@rixV

神様が僕にくれた物

ある日の会社帰り、人気の無い道を1人で歩いていると目の前に神様のようなコスプレをした人が立っていた。

俺は気味が悪いと思い、小走りに家へ向かっていたがそいつの前を通りかかった瞬間


「ちょっと君、」


と呼び止められてしまった。

仕方がなく、


「なんですか?」


と答えるとそいつは


「願い事を1つ言いなさい。その1つを叶えてやろう。」


と言いました。

俺は当然信じてなんかいなかったのでテキトーに


「じゃあ100万ください。」


と言った。

そうすると、そいつが


「分かった。」


と言って俺に100万を渡してきた。


「ははっ、まじかよ。これ俺にくれんのか!?」


と聞いた時にはそいつはもういなかった。


次の日、同じ時間に同じ場所へ向かった。するとまた神様のコスプレをしたあいつがいた。

あいつの前を通り過ぎようとするとやはりまた


「ちょっと君、」


と呼び止めてきた。

俺は今回も


「なんですか?」


と言った。

そうするとまたそいつは


「願い事を1つ言いなさい。その1つを叶えてやろう。」


と言ってきた。

今回は期待をして


「美人で優しい彼女が欲しい!」


と言ってみた。するとそいつは


「それは無理な願いだ。」


と言ってきた。その時俺は(は?なんでも叶えれんのじゃねぇのかよ。金だけかよ。)と思い


「じゃあ2億くれよ」


と小馬鹿にしてそう言ってみた。そうするとそいつは


「分かった。」


と言い、俺に2億を渡して消えた。


その次の日、俺は会社に辞表を持っていった。

今日付けで会社を辞めることを告げ、半分無理やり会社を辞めた。その帰りにまたあいつがいた。今回は俺から


「お前最高だよ。お前のお陰で嫌な仕事からも解放された。」


と言ってみた。そうするとまたそいつは


「願い事を1つ言いなさい。その1つを叶えてやろう。」


と言ってきた。またそう聞かれたもんだから俺は


「じゃあ今日は1兆くれ。」


と言ってみた。もちろん期待半分程度のものだった。そうするとそいつは


「分かった。」


と言って俺に12万3025円を渡して消えた。俺もこの時は流石に1兆はやりすぎたなと反省した。


その次の日、俺はなんと1億5000万程のお金を使い込んだ。

マンションを買ったり身内に分けたり寄付なんかしてたら気づいたら無くなっていたのだ。


減らないお金を使うのはとても楽しいものだ。なくなればまたあいつから貰えばいいのだから。


しかし、その日はまたお金を貰いに行くというよりもどうしても気になることがあった為、また同じ時間に同じ場所に行った。

どうしても気になることというのはこのお金はどこから持ってきているかということだ。

冷静になってみればこのお金が銀行から取ってきた物だったり他人から取ってきた物だったりするとまずい。

その日も、やっぱりそいつはいた。

そいつの前を通りかかるとやっぱり


「ちょっと君、」


と呼び止めてくる。

そして、


「願い事を1つ言いなさい。その1つを叶えてやろう。」


と言ってきた。俺は


「あの2億112万3025円はどこから取ってきていたのか知りたい」


と言ってみた。するとそいつは


「お前の未来だ。」


と言ってその場から消えた。

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