第25話 調査 (表)

ザルード 「そんなに慌てていったいどうしたんだ。」


誰かを探していたようだが誰を探しているのかを聞くのが怖かった。

できれば聞き間違いがよかったのだが今年は言ってくる同級生に姫様なる人物がいるとしたらあの方しかいない。

あの方と一緒になるなんて御免だ。

俺も実際にあったことがあるわけではないが、お茶会や社交界にはほとんど参加せず、王族自ら高ランク冒険者になりそしてあのレイラ嬢と仲が良いらしい。

俺は平民だからどこまでがほんとでどこまでが噂かわかったものではない。

もし失礼なことをしてしまった際にはどんなことになるかわからない。


「ひm...マリ様を見かけませんでしたか。」


隠す気がないのではないだろうか。

さっきも姫様って呼んでたし。

おそらく一緒に入学してきたメイドだろう。

遠くからだとわかりにくかったが身長はかなり小さい。

黒髪でショートカットだが髪先のほうにかけて薄く黄色くなっている。

本当に同級生か疑ってしまう。

マリ様とは同じく入学してきた姫様のことだろう。

周りの生徒が話していたのが聞こえてきたので知っている。

しかし俺は平民なので姿すら見たことがない。

ここは素直に言ったほうがいいだろう。


ザルード 「残念ですが私は見かけていません。」


そういって俺は頭を下げた。

メイドとはいえ平民の俺より地位は上だろう。


「ご丁寧にありがとうございます。これからは同級生なので普通に話していただいていいですよ。申し遅れました。私ニコって言います。これからよろしくお願いいたします。」


この人はニコというらしい。

平民の俺にもずいぶんと優しい。

物語の主人公のようなコミュ力を持っているようだ。

俺が一緒に探そうかと聞こうとしたときに、


「あの子いったいどこに行ったのかしら。」


「このような場所には来ないんじゃありませんの?」


まさかこの声はレイラ様じゃないのか?

だったらもう一人の声はマリ様の可能性が高い。

どこかに身を隠そうかと思ったがニコがいるしもう遅い。


ニコ 「マリ様の声がします!!」


そういってニコはあたりを見渡しだした。

そしてマリ様を見つけらしい。

走って向かい、その途中で足を引っかけたのかこけてしまう。

ニコがこけるとおそらくマリ様だろう人が驚くそぶりも見せずニコを起こしていた。

その隣にいるのがおそらくレイラ様だろう。

ニコがこけたことに対して驚いているのだろうか。

ニコとマリ様を交互に見ている気がする。

ニコが何かをマリ様に話している。

話が終わると三人がこちらに歩いてくる。

ニコが俺のことを話したのだろう。

さっさと部屋に戻りたい。


「ごきげんよう。私はマリ。うちのメイドが世話になったようね。お礼を言うわ。」


ザルード 「大丈夫です。私は何もしておりませんので。」


マリ様はニコを見ながら、


マリ 「こんなのだから結構迷子になったりするのよ。これからも見かけたらよろしくね。ニコはどんな子だと思ったかしら?」


なぜそんなことを聞くのだろうか。

相手が相手なので答えないわけにはいかないだろう。


ザイード 「そうですね。不思議な人だと思いました。それにコミュ力も高いですし、いい人だと思います。」


俺の言葉を聞いたマリ様は満足した表情をした。


マリ 「そう。ありがとう。それではごきげんよう。」


そういって三人は歩いて行ってしまった。


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どうも作者です。

次回はニコとザイードが一緒にいるときの姫様サイドを投稿しようと思っています。

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