第15話 これからの事

城に戻ったニコは報告をするため姫様のもとに向かった。

どうやら姫は部屋にいるらしいのでやや急ぎ足で向かった。

部屋の前についてノックをすると返事が来たので挨拶をして入った。


ニコ 「姫様、ただいま戻りました。」


姫様は作業をしているらしく机に向かっていてこちらを見ていなかったが、声を聴くといきなり顔を上げた。


マリ 「随分と速かったわね。結構かかると言っていたけど驚いたわ。その様子だとうまくいったようね。それにしてもこうしてみるとびっくりだわ。あなたのことだから信じていないわけではなかったけど、回復魔法は全く効かなかったのに魔力を持っているものを食べることで体が治るなんて。でもどうしてこんなに速く帰ってこれたの?」


ニコ 「町を出てすぐの森の中でガミラと名乗る人物に襲われましたのでいただきました。」


マリはガミラと聞いた途端机の上の資料をあさりだし一枚の紙を見せてきた。


マリ 「ガミラは数年前から国単位で探している重要な賞金首よ。かなり強くて冒険者も兵士もかなりやられてるって聞いていたのだけれど、ちなみに聞いておくけど死体は残ってたりするのかしら?」


ニコ 「ないですよ。その人一人で足を直したんですから。それから姫様の言っていた意味が分かりましたよ。」


マリ 「私何か言っていたかしら?」


そう言いながら姫はここ最近の会話を思い出していた。

そして特に課題などを与えたこともない。


ニコ 「多分私、味覚が戻ってきているかもしれません。」


その言葉を聞いたとたん姫はニコを抱きしめた。


マリ 「どうして治っていると思ったのですか?」


ニコ 「足を治す時に食べたのですが、前までの私なら何も思わなかったのですが、姫様と食事をするときのような感じがしなかったのです。これが味覚かどうかはわかりませんが私の体には変化が起きていると思います。」


その言葉に姫は安心したような顔をして、よかったと言った。

そして姫は作業に戻り私も仕事をしようと扉に近づくと


マリ 「あっ...そうだわ。ニコ。忘れてたわ。」


姫はそう言って私に一枚の紙を差し出した。

その紙の内容は学園についてだった。


マリ 「ほら、前に言っていたでしょ。私も通うからあなたも通うって。」


確かにそんなことを言っていた気がした。


マリ 「そこで学園に通うにあたってあなたにお願いがあるのよ。」


そういって姫は少し暗い顔をして話し始めた。

お願いの内容は要するに実力を隠してほしいとのことだった。

マリはこの国の王女であるから少なくとも王位継承権は持っているのだが、女であることと三女だから女王になることもほとんど可能性はないらしい。

しかし王族なので派閥などの問題もあり、危険なのだそうだ。

そこで専属で護衛である私の実力がないとわかれば何かしら行動を起こしてくるだろうと考えたらしいのだ。

私の主人は姫様なので意見するつもりもないし、守り切ることができるのだが心配なのは心配だ。


マリ 「ニコだからこんなことを頼めるのよ。ほかの人にはぜったにこんなこと頼まないわ。」


そういって姫様は少し顔を赤くした。

姫様がここまで信頼してくれているのだ。

私も応えなければならない。


ニコ 「かしこまりました。」


静かにそして強く返事をした。

私の中で何かが少し熱かった。


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どうも作者です。

次は人物紹介を入れたいと思います。

良ければコメントや評価などよろしくお願いします。

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