掲示板とダンジョン

 ♦︎……COO掲示板




【公式】COO掲示板・Ⅳ part.87


 1:*公式

 COOの公式掲示板です。次スレは自動で立てられます。

 また、過度な荒らし行為や一定以上に通報が集まった場合、掲示板にログインできなくなる可能性がありますので、予めご了承ください。


 132:ヴァンダー

 え、待って。真紅の巨人ヤバすぎね?


 133:チェイチェイ

 今更かよ。真紅の巨人ヤバいのは昔から有名


 134:ドランチェ・フォランシュ

 いや、ドらどラが戦ってた真紅の巨人は明らかに格が違った。マジロジが攻略してる動画も見たことあるけどそれの数倍強い。比べ物にならん


 135:ペルンド

 マジロジ調べても出ないんだけど誰?


 136:義臣

 個人名じゃなくてMagic Logicっていうクラン。名前の通りに魔法系の職業しか入れないクランで結構有名。ボス討伐系の動画は結構派手で面白いから見た方が良い。


 137:コロッシブ・ビーンズ

 うわ、マジじゃん。ドラドラの動画初めて見たけどエグいな。てかこれ昔も同じようなことなかったっけ?


 138:パラジアンチ

 あった。ネン平原のオーガが何故かゾンビ化しててドラドラが第一発見者としてボコられた。それで、その後討伐隊みたいなのが結成されたけどもれなくボコられたって


 139:義臣

 しかも、そのオーガゾンビはネクロっていうプレイヤーの従魔らしい


 140:チジェ

 なにそれ、ネクロマンサー的な?


 141:クロロ

 いや、モンスターテイマーじゃないかって考察されてた


 142:原人

 誰も触れねえから言うけどドラドラが真紅の巨人をスキャンした時にも同じ表記があったぞ? 【従魔:ネクロ】ってな


 143:ベンゼン

 は? エリアボスだぞ、テイムできんのか?


 144:パラジアンチ

 流石にあり得なくね?


 145:チェイチェイ

 え、見てきたけどマジじゃん。ヤベェじゃん。


 146:ヴァンダー

 え、じゃあ元の真紅の巨人はどうなったん?


 147:人善

 俺さっき紅の森に行ってきたけど普通の真紅の巨人だったぞ? そもそもエリアボスをテイムってできんのか?


 148:グルカゴン

 知らん。けど、実際に出来てるんだからしょうがないよね。


 149:ウィード

 ドラドラのアーカイブ見てきたけどマジだったわ。ていうかどこもこの話題で持ちきりみたいだな


 150:フロス・T・マット

 オーガの時もそうだけどネクロってプレイヤーまじで何者なんだ。可愛い女の子も二人侍らせてるらしいしな


 151:ウェル・コメ

 は? 話し変わってきたな


 152:チェイチェイ

 エリアボスを配下にして野放しにし、美少女を二人も侍らせる……人類の敵じゃね?


 153:伽藍

 敵ですねえ。間違いない。消滅させましょう。


 154:ドレッド

 オーケー、任せろ。


 155:ブレイズ

 うん、最近誰に手を出そうか迷ってたところだったんだ


 156:原人

 え、こいつらPKじゃん。


 157:ユーズ

 あ、デスペナか。


 158:ウィード

 デスペナ? そもそも有名なん? この人らは


 159:ジェン

 有名なPKer。デスペナもといデス・ペナルティはこいつらみたいなPK野郎が所属してるそこそこ有名なクランで、強いやつを見かけたら問答無用でぶっ殺しに行くヤベエ奴ら


 160:ヴァンダー

 戦闘狂みたいなことか


 161:ドレッド

 まぁ、そうだな。いっつもはこうやって掲示板とか酒場やギルドの噂とかで強い奴を探し回ってる訳だ。それで、今日漸く歯応えのありそうなのが見つかった訳だ。


 162:ブレイズ

 とは言っても、僕もドレッドも真紅の巨人を使ってくるような奴に勝てるとは思えないな。レンと戦った時みたいになりそうだけど


 163:ウェル・コメ

 あ、レン君とは戦ったことあるんだ


 164:ドレッド

 あぁ、俺もブレイズもある。だけど、普通に負けちまったからなぁ。取り敢えずもっと俺が強くなるまでリベンジはお預けだ


 165:伽藍

 とは言え、噂のネクロさんと戦っても同じような結末になるんじゃないですかねぇ?


 166:ドレッド

 いいや、ネクロはモンスターテイマーだろ? てことは本体はそう強くねえはずだ。隙を突いて刺しちまえば勝てる


 167:ブレイズ

 まぁ、確かにそうだねぇ。じゃあ、どっちから行く?


 168:ドレッド

 は、そりゃあ早いもん勝ちに決まってんだろ


 169:フタチ

 公式掲示板で着々とPKの計画が練られていくのをただ眺めているだけの俺たち


 170:ユーズ

 まぁ、見てる分には面白いからね、PvPって


 171:ペルンド

 あ、そうだ。折角だから話せる内に聞きたいんだけどドラドラとかは襲わないの?


 172:ドレッド

 いや、ああいう配信者ってのは大体おふざけてるだけじゃねえのか? なんか見る気も起きねえしなぁ、何となく気に食わねえとは思うが


 173:ブレイズ

 うーん、僕もそんな感じだねぇ


 174:ドランチェ・フォランシュ

 いや、ドらどラはかなり強いぞ。少なくともキャラの操作とかPSとかは一般人とは比べ物にならんくらい。一回配信見てみな


 175:ドレッド

 まぁ、そうだな。強そうだったらネクロの前に前菜として頂くか。


 176:ブレイズ

 オッケー、じゃあそっちも早いもの勝ちで良いよね


 177:ウィード

 ……PK、怖えなあ






 ♦︎……ネクロ視点




 どんよりとした雲が空を覆い尽くす砂丘を歩き、襲い来るミイラとかグールとかをぶっ飛ばしを繰り返した先には、どこか神殿にも似ている建造物があった。


「……分かってたけど、結構暗いね」


 神殿のような建物に入ると、中は数本の松明だけで照らせれた仄暗い空間だった。建物の中は特に何もなく、ただ地下に続く階段があるだけだった。


「そうですね、地下はもっと暗いんですかね? まぁ、私は元々暗いところでも見える種族なんですけどね」


「私は暗視スキルを所持しているので問題ありません」


「……僕も取ろうかな、暗視スキル」


 実際、ロアとかグランとかアースとかが各地で大暴れしてくれてるお陰で僕のレベルは勝手に上がっているし、紅の森を踏破した時の称号でSP,APを100ずつゲットしているので取ろうと思えば取れる。それに、暗視スキルは50SPとかなり高いが僕の闇魔術とは相性が良い。


「良し、取得しよう」


 僕はスキルショップから暗視スキルを選択し、取得した。


「えーと、パッシブスキルだけどオンオフと出力は変えられる……かな」


 どのくらい明るくするかを自分で設定できるようだ。取り敢えずいつもと変わらない程度まで明るくしておいた。が、なんか雰囲気が無いのでもう少し暗くした。


「良し、これでいいかな。じゃ、行こうか」


 僕は二人を連れて地下へと続く階段を降りた。



 昏き砂丘のカタコンベ、それがこのダンジョンの名前だ。そして、地下墓所を意味するカタコンベと名が付くからにはアンデッド系の魔物が多く出現するのだろう。


「……凄いね、何だか石畳の迷宮とは違って本当に墓地みたいだ」


「そうですね、気持ち悪いです……」


 暗く狭い通路の壁には頭蓋骨が大量に埋まっており、まともに眺めていると結構気持ち悪い。出来るだけ見ないようにして三人で歩いていると、少し先に部屋を見つけた。


「ネクロさん。その部屋、居ますよ」


「おっけー、じゃあ頼むよ二人とも」


 エトナの報告を聞いた僕は二人の後ろを歩き、部屋に入った。


「……来ます」


 広めの部屋には無数の棺桶があり、何匹ものスケルトンがボロい剣を持って歩いていた。


「ゔぁ、ゔぁぁああ……」


 先ずはスケルトンを倒そうと僕が闇の魔法を行使しようとすると、棺桶の蓋が持ち上がり、そこからミイラが現れた。


「ゔぁぁ、ゔぁあああぁ……」


 更に、その一匹を皮切りに続々と棺桶が開いていき、ワラワラとミイラが現れ始めた。


「マスター、ミイラが12体、スケルトンが24体です」


「うーん、まぁミイラとかスケルトン程度なら好きに倒していいよ」


「その言葉を待ってましたよネクロさんっ!」


 凄まじい勢いで飛び出していったエトナは我先にとモンスターを狩り始め、メトが加わる頃にはスケルトンが数匹残っているだけだった。


「……やっぱり強いなぁ、僕には不相応なくらい」


「どうですかっ! あの程度の魔物なら一瞬ですよ!」


 褒めてっ、とばかりに近寄ってくるエトナの頭を適当に撫でる。


「うん、凄いね。流石だよ、エトナ。……それに、メトもありがとね」


「いえ、問題ありません」


 メトはエトナに呆れたような目線を送っている。僕も送りたいところだが、従魔は甘やかす主義なのでエトナもメトも褒めておこう。


「……良し、じゃあそろそろ行こうか」


 一部屋通る度にこんなことをしていたらキリが無い。さっさと進んでしまおう。


「むぅー、まぁ良いですけど……あ、この先に敵がいますよ」


「うん、やっちゃっていいよ」


 そう僕が言うと、エトナは通路の向こうに駆け出していき、腕を黒く染め上げ、刃の形に変化させてミイラの首を刈り取った。


「やりましたよー、でもなんかぬるくないですか?」


「まぁ、まだ一階層だからね。これから強くなるんじゃない?」


 基本的に、ダンジョンというのは進むに連れて敵が強くなっていくものだ。更に、その階層の最後には強力なモンスターが待ち受けている。それがフロアボスだ。


「確かにそうですね……なら、フロアボスに期待ですね!」


 が、このダンジョンはその定番を外している。


「残念だけど、それもまだかな」


「まだ……って、どういうことですか?」


 エトナが不思議そうに僕を見ている。メトも少し気になっているのか、さり気なく僕の方を見ている。


「先ず、このダンジョンはまだクリアされてないんだけど、地下十階まで存在が確認されてる。そして、このダンジョンはかなり特殊なんだ」


「マスター、特殊とは一体?」


 遂にメトも話に加わってきた。


「うん、このダンジョンは大抵のダンジョンの基本を外してるんだ。具体的に言うと、このダンジョンは一階層から五階層までフロアボスが居ない」


「え、居ないんですか?!」


 エトナが驚いたように言った。


「うん、居ないんだ。代わりに六階層から十階層まではフロアボスしか居ない」


「フロアボスしか居ない……って、どういうことです?」


「どういうことも何も、そのままだよ。こういう風に部屋が一杯あったり通路で雑魚が出てきたりしない。ただ一階層につき一つボス部屋があるだけなんだ」


「あー、分かってきましたよ。前半は雑魚しかいなくて後半はボスしかいないってことですね?」


 エトナの答えに僕は頷いた。


「そうだよ。まぁ、多分だけど前半で勝てないのは初心者だけだね」


「なるほど、じゃあこのダンジョンはボスが強くてまだ攻略されてないってことですか?」


「そうだね。少なくとも、僕たち次元の旅人の間ではまだ攻略者は出てないらしい」


 そうやって話しながら歩いていると、地下二階へと降りる階段を見つけた。


「良し、じゃあ六階層まではサクッと行きましょう」


 僕たちは更に下へと歩みを進めた。




 ♢




 数十分後、サクサクとダンジョンを攻略していった僕たちは遂に六階層、もとい地下六階に辿り着いた。六階層の階段を降りた先には、重厚な扉が有り、重たい威圧感を放っていた。


「開けますよ。マスター」


 二人には既にテイマーの各種バフをかけてある。準備は万全だ。


「うん、開けちゃって」


 この中ではSTRが一番高いメトが重い扉を開けた。


「……スケルトン、ですかね?」


 部屋の中央奥には、重厚な盾と鎧に大剣を装備した大柄なスケルトン。周りには中央のより貧相ではあるが金属の鎧と槍や剣などの武器を装備したスケルトンが四体立っていた。


 結論から言えば、このスケルトン達以外にモンスターは居なかった。


「……だけど、結構強いね」


 解析スキャンしてみた結果、真ん中の大きいのが【骸骨戦士長スケルトン・チーフ:Lv.43】周りの四体が【骸骨戦士スケルトン・ウォーリアー:Lv.39】だ。油断はしない方がいいだろう。


「エトナと僕は周りのをやるから、メトはあの大きいのをお願い」


 僕は腰に挿した二本の短剣を抜いて構えた。


「分かりました!」


「了解です」


 二人も準備が整ったようなので、部屋の中で待ち構える骸骨共に僕たちは突撃した。


闇棘ダークスパイクッ、闇刃ダークカッターッ!」


 僕の影から生えた闇の棘が地面を伝い、骸骨戦士スケルトン・ウォーリアーの内二体に枝分かれして襲いかかるが、飛び退いて回避され、その回避先を狙った闇刃ダークカッターも盾に防がれてしまった。


「結構戦闘慣れしてるね、流石は種族から戦士なだけはあるよ」


 真っ先に攻撃した僕を標的にした二体は僕の方に走って近付いてくる。残りの二体はエトナの元に向かったようだ。


闇棘ダークスパイクッ、闇騎ダークウォーリアーッ!」


 僕は近付かれないように闇棘ダークスパイクを発動し、その後にすかさず闇騎ダークウォーリアーを創り出した。時間が無かったので二体しか作れなかったがしょうがない。


闇騎ダークウォーリアー、僕を守れッ!」


 二人の闇の騎士に前に立ってもらい、僕を守らせる。


闇腕ダークアームッ! 闇刃ダークカッターッ! 闇刃ダークカッターッ!」


 相手の影から無数の闇の腕が生え、闇騎ダークウォーリアーと戦おうとした二体の骸骨を拘束する。拘束自体は数秒で引き千切られるが、その数秒で十分だった。

 闇騎ダークウォーリアーが拘束された骸骨達に抱きつき、更に拘束をしたところを闇騎ダークウォーリアー諸共、二重の闇刃ダークカッターで真っ二つにした。


 二体の骸骨戦士スケルトン・ウォーリアーを倒し、余裕ができたのでエトナの方を見ると、既にスケルトンを倒し終わっており、メトの加勢をしていた。


「……僕も負けてられないね」


 二人は既に骸骨戦士長スケルトン・チーフを圧倒しており、メトの重たい一撃がボスの防御を崩し、そうしてできた隙をエトナが攻め立て、着実にダメージを与えていた。


闇腕ダークアーム


 骸骨戦士長スケルトン・チーフの影から無数の闇の腕が生えて大柄なスケルトンの体を掴んだ。そして、その隙を2人が見逃さない訳がない。


「ナイスですネクロさんっ!」


「マスター、支援に感謝します」


 体勢を少し崩した骸骨戦士長スケルトン・チーフをメトが殴り飛ばし、倒れかけたスケルトンの首をエトナが刈り取った。


「やったっ! 倒しましたよッ!」


「うん、みんなありがとね。結構硬かったけど倒せて良かったよ」


「そうですね、防御力だけは突出していました」


 軽くさっきの戦いを振り返りながら僕たちは次の階層に進んだ。

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