恋愛カリキュラム
maris
第1話
高校二年生なった始業式のこと
クラス替えで同じクラスになった
私─三浦未来(ミク)、山本綾(アヤ)、
漆間空(ウルマ・ソラ)、岸翔亜(トア)は
校長室に呼ばれた。
「残念な事ですが、君達4人だけ該当ペア不明という結果が出てしまいました。
大変申し訳ありませんが、くじ引きでペアを決めて下さい」
大人達は焦っていた。今迄様々な政策行ってきたが、一向に成果が得られず、
少子化は加速し、婚姻率は減少するばかりだった。
このままでは、日本は大変なことになる。と
そこで、これまでの考え方を大幅に変更し、新な政策を実施することとした。
期限は15年。
それが昨年の話で、
高校は全て共学となり、新たな教科として
『恋愛』が取り入れられ、カリキュラムが組まれた。
一年生を準備段階
二年生は実践段階として。
カリキュラムといっても、ゆる~いもので
一年生では、主に、女子に比べ恋愛精神年齢
の低い男子の育成が目的。
課題は、恋愛小説、恋愛漫画読むか、恋愛ドラマ.映画の観て感想文を提出する事。
図書室には、恋愛漫画コーナーも新設された。
二年生では、
1年間AIによって決められた相手とペアを組み、カリキュラムをこなしていく事で、
異性に対する抵抗感や恐怖心を無くし、
疑似デートを体験する事で
交際ハードルを下げる事が表向きの目的だ。
実際の所は、
少し前までは結婚相手と出会った場所のトップが、大学だったのに、
今では、交際相手がいると答えた大学生の割合が20パーセント代になってしまっている。
ならば、結婚願望率が高い高校生をターゲットにしようと考えられた。
年齢が上がるにつれ、出会うチャンスも減り、性格も見抜けぬ内に結婚し、離婚してしまう事もある。
そう考えると、高校は相手を見つけるのに
最高の環境が整っている。
高校生のカップル誕生の増加こそが、一番の目的だった。
二年生になる前には、膨大な量のアンケートに答えさせられた。
それを元にAIによって、ペアが組まれるがLGBTI等、様々な配慮はされた。
既に同じ学年にいるカップルは、ペアを組むことになり、
その証として、表に番号、裏にイニシャルが入ったゴールドのバッチが付与され、制服に付けることが義務づけられた。
他の学年や外部に相手がいる場合は
シルバーのバッチ(イニシャルのみ)を渡され
ペアではなく、グループとなった。
真面目に取り組む様
成績として評価し、大学入試にも加点される。
時々テストと称する意識調査を行うので、
恋愛偏差値が誕生する。
始まったばかりの政策の為、不都合が出た場合は、その都度調整するらしい。
今現在、未婚の子供を持つ親は、この政策を
高く評価しながら、もっと早く始めて欲しかったと嘆いた。
という訳で、ペアを組む相手が発表されたのだった。
私達4人を除いて。
私(三浦未来)は、卓球部に所属する平凡な女子。
山本綾は、吹奏楽部、一年の時から生徒会(二年では副委員長に決定している)に席を置く、読書が趣味の真面目女子。
岸翔亜は、茶髪の軽音部男子。趣味は音楽鑑賞と読書。一年では違うクラスの為、どんな人かよく知らない。
漆間空は、ダンス部所属、高身長で、
学年1イケメンだと入学してすぐから、
学校中で評判になり有名になった。無口でクールな男子らしい。学年を問わず女子のファンがめちゃめちゃ多い。
校長先生の指示のもと
女子が男子の名前が書かれたくじを引くことになり、順番を決めるジャンケンをした。
私の負け。
山本さんが引いて決まる。
くじ運がものすごーく悪い私は、
過去、みんなが嫌がることを沢山引き受けてきた。
残り物には何とか……って多くの人が引いた後に引いても、
結局、嫌だと思う結果になる。
神様、お願いします!
山本さんが漆間君を引きます様に!
山本さんが引いたのは、岸君だった。
うわっー最悪だ!私のペアが絶対無理な
漆間君に決まってしまった。
多くの女子を敵にしちゃって、明日から学校来れるのかな?
山本さんと教室へ向かっている時、
「私、恋愛全く関心ないから、こんなカリキュラム最悪だわ。それに茶髪とかバンドとかって大嫌いなんだ」
それなら、代わって欲しいと頼んでみたけど、
一度決められたペアを解消するには、申請書を提出して面談しないと承認されないから、
面倒で嫌だとあっさり断わられてしまった。
教室に戻ると、色んな意味でざわついていた。
先生が、私達4人のペアを発表すると、
予想通り女子達が、不満たっぷりの顔で
睨んできた。
クラス替えしたばかりで、知り合いは同じ卓球部のゆいちゃんぐらい。
一年で一緒だった人もいるけど、山本さんとか、あんまり関わらなかった人ばかりだった。
休み時間になると、
さっそく私に対する陰口が始まった。
「何であんな子、納得出来ない」
「全然可愛くないよね?」
「もし、カップルになったら、絶対許さない」とか。
聞こえよがしに話してる。
ゆいちゃんが一緒にいてくれたから、まだ良かったけど。
「なんか、居心地悪いんだけど、
このクラスで友達つくれないかも……
寄りによって何で私なんだ!ひど過ぎる……」
「授業なんだから、仕方ないのにね、同情する。でも私はずっとミクの味方だよ!」って慰めてくれた。
それでも、みんながやっぱり怖い。
と思っていたら、
漆間空が目の前に来て、みんなに聞こえるように言った。
「俺さ、お前を好きになる可能性ゼロだから、そっちも俺を好きにならないで。カップルになるつもりもないから。期待されない内に言っておくよ」
感じわる
そんなの、言われなくてもわかってる。
学年1のイケメンと付き合いたいなんて
思ってないから。
わざわざ皆の前で言うなんて
恥ずかしすぎる……
やっぱ無理だ、漆間空とペアは。
みんなに笑われてるかと、回りを見たら、
それを聞いて、女子の不満が収まったのか、教室の空気が、和らいだ気がした。
フーッ、良かった!
もしかして、私を助ける為に言ってくれたとしたら、格好良すぎる……
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