第7話 知性が低い奴は、大体漢字で話す
さてさて、ダンジョンに入りますか。
ダンジョンの説明は軽くしかしてなかったし、そこら辺も思い出しながら行こうかね。
ダンジョンについてわかっていることは少ない。
核があるということ。
異界と現界を繋ぐ扉のようなものであること。
魔物の巣窟であること。
そして、魔力濃度がとてつもなく高いということ。
現状わかっているのはこの程度。だからこそ、ダンジョンの研究は盛んに行われているし、その管理も徹底している。
基本的にダンジョンの管理は、政府が担当し、それ専門の機関によって管理されている。
ダンジョンの入口には、結界が張られており、入るには専用の許可証が必要となる。
この許可証は、ダンジョンを管理する機関に実力を見せる必要があるのだが、そこは東青家。
そんな許可証は簡単に手に入ってしまった。
まぁ、勝手にダンジョンで死んでくれれば御の字とか思ってんだろう。廃嫡するよりは、勝手に死んでくれた方が世間体的にいいからね。
俺は、準備運動をしながら、自分が持つ
『楽学』では、フレームが3つに、体力と敏捷アップのパッシブスキルが付いたかなりいい感じの
壱成を殺すときや、壱成が死んだ後に拾うことが出来る。
「とりあえず、魔法撃ってみるか。」
フレームに、『属性』:水、『生成』:球、『操作』:射出をセットし、魔力を流し込む。
「
導線が光り、魔力が流れ込む。導体が魔力の線で繋がり――発動。
ドパッ!
「おぉー!」
水の球が生成され、壁に向かって飛んでいく。お世辞にも速いとは言えないが、当たった時の衝撃はかなりのものだ。
「実戦じゃ使いどころが限られるな。」
でも、かっこいい。……いや、だって男の子だもん。今まで魔法がない世界にいたんだからちょっとくらいはしゃいでもいいじゃない?
……はしゃぎすぎだな。少し落ち着こう。
「……やっぱタバコ欲しいなァ。」
今は未成年だからなぁ、吸っちゃダメかなァ。
「成人したら買いに行こ。あと2ヶ月ぐらいか。」
……え?あと2ヶ月?そんな時間ないの?成人と同時に廃嫡って言ってたよな。
「……急ぐか。」
……いた。
探索と初めて10分ほど。俺は目当てのスライムを見つけた。
「まんまド〇クエだな。」
滴型のフォルムに、ゼリーのような質感。微弱な意志を持ち、ダンジョン内を徘徊するスライム。
そいつの傍により、俺は【念話】を発動する。
『あー、聞こえる?』
『……是。』
スライムには、群体型の魔物であるためか、本体と呼ばれる群体の主以外には、感情が薄く、知性も弱い。
それゆえか、警戒心がなく、又、人間に襲いかかってくることがない。
だから、俺はスライムを選んだわけだが……。
『じゃあ、君らの主呼んでくれる?』
『是。』
このスライムの主を呼んでもらい、俺は周囲を眺める。
ダンジョンとは呼ばれているが、ここは何の変哲もないただの洞窟だ。決して、冒険者が命をかけるような場所には見えない。
「まぁ、当然か。」
ここは、初心者でも立ち寄らないような低級のダンジョンだ。
そうして時間を潰しているうちにもスライムの主が来たらしい。
俺はスライムと話を進めていく。
『何故。理由。』
こいつが聞いているのは、俺が呼んだ理由だろう。
『君らの力が必要だから。俺と契約して欲しくってね。』
『契約、内容。』
『俺の魔力を一日一回、三割やる。代わりに、俺の言うことを聞くこと。』
スライムは魔力さえあれば生存が可能で、ダンジョンにいるのは魔力濃度が濃いからだろう。
然し、スライムにとってもここは危険なはずだ。スライムは、言ってしまえば魔力を含んだ水のようなもの。他の魔物にしたらいい餌でしかない。
だから、俺の提案には乗るはずだ。
『ダンジョンの外に連れていくから危険は減るぞ?それに安定的に魔力を回収できる。悪い話じゃないだろ?』
『命令、内容。』
『基本的には情報収集。隠れながら人の話を聞くぐらいだ。あとは、連絡係ぐらいかな。』
群体型魔物は、離れていても意思の疎通ができる。全てが同一の存在だからな。だからこそ、情報収集や連絡には向いている。
『どうだい、俺と契約してくれねぇか?』
『……了承。』
『交渉成立……だな。』
俺は笑いながら、そう呟いた。
『じゃあ、契約するか。』
『契約、魔力を対価に、俺に命令権を譲渡。魔力は、一日一回、俺の全魔力の3割。俺の命令内容は、情報収集とスライム同士の連絡。異論は?』
『無。』
パァン
俺とスライムの間に、一つの線が繋がる。
契約完了のサインだ。
『じゃあ、これからよろしくな?スライムさん』
『了。長期、願。』
……さて、ここでやる事は全部終わった。
後は、こいつらの進化先の誘導だな。
忙しくなってきた。
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