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「改札でさ、何時間でも待つつもりだった。
だからすげー驚いたよ、あんなにすぐにお前と会えて。
怒ってたはずだけど、びっくりしたのが勝っててさ。
嬉しかったとかもなかった、安心とかもなかった。だからよかったとかなんとかなったみたいなさ、そんなの全然なくて。
びっくりした。
やっぱおれ、あのトラックにお前が乗ってたんじゃないかって、ほら、ずっと思ってたから。このときでも、心のどこかで。どこかでっていうか、だいたい全部で。
それで、駅で話したことは手紙で書かなくてもいいことだから、それはもうお前に伝えたことだから、だからおれはお前に伝えられなかったことを書くよ。
おれはお前にふざけんなって言おうとしてたのに言わなかった。
なにしてんだ、なに隠してんだって、なんで行っちゃうんだって、言おうとしてたはずだったのに、ここまでにも何回もそれは書いたはずなのに、でもあのときおれはお前に言わなかった。
お前の知っての通り、おれはなにも言えなかった。
おれがなにも言えなかったから当たり前だけど、話してたのはお前の方だったよな。
二人で泣いて、おれは話せなくて、お前は話してくれた。
たくさん話してくれた。
それで、そうだ、これもおれは言えなかったからここに書いておくことにする。
ありがとうな。
うれしかった。
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