♡第2話♡ さっそく寄り道!!
どうもこんにちは。真面目勤勉成績優秀老若男女に大人気の謙虚なエリーナです。
つい先日、何者かに殺害された可哀想なエリーナです。
そんでもって犯人捜しがクソガキに任されてしまった、悲運の聖女でございます。
本編に入る前に、私のルールを説明いたします。
まず、私は生きている人間に一切干渉できません。ポルターガイスト的な行為も不可能ですので、本当にただ見守るだけです。
活動時間は1日18時間前後。
幽霊といえど見たり考えたりするのは疲れるので、休息が必要なのです。
次に観測できる範囲ですが、地縛霊と背後霊を切り替えることで変わります。
地縛霊として学校に取り憑けば、校内を自由に飛び回れます。そのぶん体力の消耗が激しいですが。
逆に背後霊になれば、その人物の周囲しか観測できませんが、長く活動でき、学校外にも出れます。
現在はコペニュの背後霊となっています。この一ヶ月いろんな人に取り憑きましたが、成果がなかったもので。期待はしていませんが、ものは試しってやつです。
あとコペニュが赤っ恥をかく瞬間を見逃したくありませんし。
以上を踏まえて、本編へどうぞ。
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前回の衝撃的な始まりから1時間後、コペニュは入学式に参加しました。
入学式の会場は、私が殺害された聖堂。今年は約100人が入学し、制服である白いローブを纏ってドMの校長のありがたいお話を聞いています。
端っこの方には黒いローブを着用した新入生の少女が10名ほどいますが、彼女らは聖女枠として入学した子たちです。
さて、それではここらで舞台の説明をさせていただきます。
ルイツアリア魔法学校は由緒正しい歴史ある学校です。
ここで3年間、生徒たちは魔法を学び、友を作り、やがては軍や政界、魔法学会などに進出していくのです。
じゃあ聖女ってなに? てとこですが、一先ず『神に選ばれた特別な存在』的な感じで覚えておいてください。
長々と語ると疲れちゃうのです。どうかお許しを。コペニュを好きにしていいので(いっそ拉致監禁拷問しちゃってください)。
「あー、だる」
そんなコペニュですが、先頭のど真ん中に並んでいるにも関わらず、ものすんごく大きなあくびをかましました。
12歳の飛び級入学だから、周りよりも一際背が低くて目立っているのに、なんとふてぶてしい。神経が鉄骨でできてんのか。
「ねえ」
コペニュが隣にいた少女に話しかけます。
肩までかかった青い髪をした、気弱そうな女の子です。
「これ、いつ終わんの〜」
「え? わ、わかんない……です……」
「なんで敬語なの? 私より年上なんでしょ? あそっか、私の天才オーラに圧倒されちゃってるんだ☆ うひひ」
「は、はぁ……」
ドン引きしとりまんがな。
相変わらずクソ生意気ですが、確かに彼女からは特別なオーラが放たれているようで、周囲の新入生たちはずっとコペニュに注目しています。
魔法とは、ただでさえ使える者が限られる才能。そのうえ非常に難しいテストを合格した一握りの人間だけが入学できるこの学校に、12歳で入るのは前代未聞なのです。
あれが天才少女か。いったいどんな魔法を使うんだろう。などなど、彼女に関するヒソヒソ話が止まりません。
「つまり、この私に話しかけられたあんたは最高のラッキーガールってわけ。名前は?」
「サ、サーニャです」
「よろしく、サーニャ」
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入学式後にクラス分けが行われ、コペニュとサーニャの1年たんぽぽ組は芝のグラウンドに集められました。
20名の生徒たちの前には、若くかわいい新人教師が立っています。
ほわほわした雰囲気の、おっぱいのでかい女性です。
「みなさ〜ん、このクラスの担任になりました、メロ〜ンですぅ。先生たちの中で一番若いけど、恋しちゃダメだよぉ。なんちゃって、てへへ♡」
あ?
そのキャラで教師人生乗り切るつもりなんかこいつ。
30超えたらキツいだけだぞ。
おっぱいデカいからって調子に乗んなよ。私はおっぱいデカい女が大嫌いなんだよ。
去年私が好きだった男子が、私じゃなくておっぱいデカい女を選んだあの日からなッ!!
……すみません、つい頭に血が登ってしまいました。
な、なにはともあれ、クラスの男子たちはメロ〜ンのおっぱいに釘付けで、無事に生徒人気は獲得できたようです。
「これからみなさんにはぁ、魔法を見せてもらいますぅ。みなさんのぉ、お得意な魔法をぉ、披露しちゃってくださぁい」
なんじゃその喋り方。人の神経を逆撫でる魔法でも使っとるんか。
歯が全部抜けた老人だってもっとハキハキ喋るぞ。
と、とにかく、魔法学校ならではのクラス内自己紹介がはじまるようです。
ここで凄い魔法を発動できればそいつはクラスの人気者。自分と似たような魔法を使う人がいれば友達になったりもします。
これは、良い機会ですね。
あんだけイキリ散らかしているコペニュの実力が、ついに白日の下に晒されるわけですから。
「じゃあ最初は……サーニャちゃん、お願いできるかなぁ?」
「ひっ!」
サーニャが小さな悲鳴をあげると、クラスメイトの全員が彼女に視線を向けました。
それがとても恥ずかしいようで、サーニャは涙目になって顔を伏せます。
そんな彼女の背中を、コペニュが叩きます。
「行ってらっしゃいサーニャ。この天才様の友達として、みんなをあっと驚かせちゃってよ!」
なにハードル上げてんだ。
とまあこんな具合で、次回に続きます。
っておい、事件のこと忘れてないだろうな、コペニュちゃんよ。
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