第八話 ロダン辺境伯領フーリエ 一
私が宿のチェックインをしている間にアマンダ達も終わったようです。
「これからどうするんだ? 」
「私は着替えてから少し街を歩いてみようかと思います」
「そうか、俺達は一旦休ませてもらうぜ。何せ騎士王国の真反対からきて疲れたんだ」
「あら、そんな遠くから護衛をしていたのですか? 」
「まぁな。その代わりがっぽり報酬を
ハハハ、と言いながら手を振りながら寝室へ階段を
それに長期間の護衛依頼が来るということはそれだけ信用のおける方々なのでしょう。傭兵業はその実力もさることながら信用も大事です。
傭兵を雇ったつもりが盗賊だった、なんて事ざらにあるようですし……。
彼女達を見送る中「はっ!」として「私も着替えに行かないと」と思いクリスタは階段を上がり割り当てられた部屋へ行く。
中へ入ると騎士王国の国境の街とは異なり
あら、これは魔道具でしょうか。
上を見ると
付与されているのは
しかし普通の街の宿に魔道具の
そう思いながらも服を着替える。
服は……国境の街で買ったものがいいでしょう。
靴はそのままですね。新品ですし。
銀色の髪が映える赤いローブに黒い
クリスタは街の
カウフマン公爵領まで一つ領地を通らなければならないので
三年ぶりに魔法王国へ帰ったせいか少しうきうきした気分で散策をする。
騎士王国側の国境の街とは異なり魔道具の販売が
恐らく騎士王国が側へ抜ける人向けの販売だろう、包丁に簡易照明器具、テントなど様々な物が売られていた。
数人が一つの店に集まって
「はい、らっしゃい! これは最近はやりの魔力鍋! 魔力を流すだけで料理が出来る
「へぇ、そりゃ魔法がつかえねぇ俺にも使えるのか? 」
「魔力を流し込むことが出来れば可能でさぁ! はい買った買った!」
付与されているのは
「火加減はどうなんだ? まさか魔力を流したがいいものの鍋の中がまる
するとその商人は言葉に
「「「うぉい!!! 」」」
がっかりした様子で集まっていた客が別方向へ歩き出す。
「はぁとんだ
「結局魔法使い系の
「普通魔法使いは傭兵にならねぇよ……」
客が一気にその店から遠のいてしまった。
あの魔道具、使えそうですね……。
うなだれている店主の男性にクリスタは近づいて行く。悲壮感
「はぁ~やっぱり場所が悪いのか……」
「すみません」
「一層の事、売る場所を変えようか……」
「もしもし? 」
「だがそれだと品物を仕入れるのに金がかかっちまう……」
「すみません! 」
少し声を
「こちらの商品、魔力操作が出来れば使えるのですよね? 」
「え、ええ、そうです。先程のやり取りをお聞きになられたので? 」
「はい。そちらの商品見せていただいてもよろしいでしょうか?」
「構いませんよ……。実のところここ一週間程粘って売り込んでいるんですが
下に横に見ると底には
これが恐らく
それにしても複雑に魔力経路を
縦に横に
特徴的なのは魔力経路の途中で
魔力過剰供給による鍋への負荷を抑えているのでしょう。
これは取り扱いもそうですが
そう思いながら下に横に鍋を
ふむ……。これなら私でも手入れが出来そうです。
少々手間ですが……。
「試しに使用しても? 」
「えぇ、構いませんよ」
「では失礼して、
野菜の切りくずが入っている鍋に水を張ります。
そこから魔力を徐々に流し
少しすると、ぐつぐつと鍋が
まぁこんなところでしょうか。
料理が苦手な私でもできたのです。かなり高性能なのは間違いないでしょう。
焦げて……ないですよね?
いつも何かと仕事を押し付けてくるイーサム達でしたが食事だけは自分達で作っていました。流石に魔力を流すだけ……。大丈夫、ですよね?
そう恐る恐る見ると多少
一安心ですね。
壊れてもいないようですし大丈夫です。
しかしこれを作った人は誰でしょう?
これほどの技術があるのです。『
聞くのは……
役に立ちそうですし何より興味が
私の様子を興味深く見ていた店主に一言「これを買います」と言います。
「ほ、本当かい? 嬢ちゃん? 」
「えぇ。で、おいくらでしょうか? 」
「……元々の値段は金貨十枚の予定だったんだが……売れ残っちまったもんだからな……。金貨七枚でどうだ? 」
金貨十枚……。確かに製品の技術力の高さを考えると
おそらく場所を変えても売れなかったでしょう。
「分かりました、ではその金額で買いましょう」
そう言いお互いに商品と金銭を受け渡しをしてクリスタはその場を離れるのであった。
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