最強無敵!~勇者の子を身ごもった大魔王の娘、最強パーティーに入る~
あずま悠紀
第1話
「母さん!」
俺は勇者として生まれ育ったわけだが、そんな俺の母は大魔王であった。
「よく来たな、我が息子よ。お前の父から、お前が我を殺しに来たと聞いておるぞ?」
「……父さん。なんでそんなことするんだ……」
俺が父を見ると、父はニヤリと笑った。すると母が言う。
「いや、だって。我が子ながらお前は強すぎるし、そもそもお前の父が勇者だし、もう戦う運命かなって」
「……母さん、そういう適当なところも可愛いけどさ……」
俺が言うと、母は少し照れたようにした。でもさ、なんか違うよね?俺って、最強の勇者の血族だから狙われてたんじゃなかったっけ?
「ま、まぁとにかくだな。お前は我と戦いたいのであろう?かかってこい」
母が構える。だけど、俺も構えた。そして……俺は叫んだ。
「うおおおおっ!」
こうして、俺は初めて母と戦り合ったのだった。そして、なんとか勝つことができた。だが、俺は負けたことで気づいたんだ。母は、俺を試していたのだと。そうして、俺の最強の勇者との戦いが始まった。
『スキル発動:鑑定』
そう唱えて、僕は自分のステータスを確認した。このステータス画面というのは、僕だけの能力だったんだけど、ついに他人に見せることができるようになった。それで、僕が手に入れたスキルについての説明文を読んだ。
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スキル名:『最強無双(むてきむそう)』
解説:全ての敵に対して圧倒的有利になるスキル。
=== うん、なるほど。確かにそうだ。これがあれば負けることはないだろう。でも……これは……あれかな?もしかして僕の才能にみんなが期待しているのかな……?なら仕方ないか……。よし、じゃあみんなにこれを見せてあげようかな。そう思い、僕は立ち上がった。
「ん?どうしたんだ?」
「みんなに見せようと思ってね」
「え?」
そう言って僕はみんなのいる方向を見た。そこでは……まだ会議が続いていた。なので、僕は言った。
「えっと……みんな!とりあえずこのスキルは使えると思うから安心してね!」
僕がそう言うと、全員がこっちを向いた。どうやらようやく決まったようだ。というわけで、早速僕のスキルを使ってみることにしたのだった。ちなみに、使ったあとには反動があるという説明文もあったので、僕はそれがどれくらいのものなのか確かめてみた。それは……なんと、一分だけ使えば魔力切れになって動けなくなるらしい。でも、それを過ぎると魔力は回復し始めるとのこと。
「ねぇ、これって結構危険なものじゃないか?」
僕が言うと、みんなは答えた。
「大丈夫だ、いざとなったらお前が守ってくれるだろ?」
「うんうん、その通りだよ」
「私もそう思うな~」
「ああ、僕もそう思うぞ」
みんなが僕に期待しているようだけど、果たして本当に大丈夫かな……?
「よし、じゃあやってみるね!」
僕はそう叫んでから走り出した。するとその瞬間、僕はとんでもないスピードで走ったので、驚いた。まるで、瞬間移動をしているかのような速さだった。さらに僕は、走っている途中に見つけたモンスターを次々と倒していった。そして、あっという間に倒し終わった僕は、その場に止まった。
「ふぅ……」
僕が息をはくと、そこに誰かが来たようだった。そちらを見てみると、そこにはクラスメイトの一人がいた。その女子は、こう言った。
「君って、強いんだね。私の仲間にならない?」
彼女はそう言ってきたが、僕には仲間なんて必要ない。なぜなら、最強なのだから。それに、彼女が言っている「私」というのもなんだか気にくわない。そう思った僕はこう答えた。
「悪いけど、君はいらないかな」
そう言った瞬間、彼女の顔が変わった。そして……彼女は僕を殴ろうとした。しかし、それは僕の手に簡単に止められてしまった。そして、彼女に向かって言う。
「ちょっと……急に何をするのさ」
僕が言うと、彼女が言う。
「いや、別になんでもないわよ。ただなんとなく殴っただけよ」
なんか嫌な感じだなと思った僕はそのまま手に力を入れた。そして、彼女に聞いた。
「ねえ、君は一体何者なんだい?」
僕がそう聞くと、彼女の表情が強ばったような気がした。そして、すぐに笑い始めた。
「私はあなたと同じ人間だよ」
そう言われて、少し考えてみることにした。すると、彼女は言った。
「まあ、そんなことより、早く私を倒してくれないかしら?」
そう言われると、また考えたくなってしまう。だけど、さすがにずっと考えているわけにもいかないだろうと思い、今度は攻撃をしてみることにした。だが、その前に一つ質問をすることにした。
「ところで、君がさっき僕に向けて言っていた『いらない』って何のことなのかな?」
僕が質問すると、彼女から笑顔が消えた。そして、言った。
「あなたは、勇者でしょ?でも、私にとっては邪魔な存在なのよ」
それを聞いて、僕は思った。こいつは、魔王の仲間なのだろうと。つまり……倒すべき相手であるというわけだ。そこで、僕のスキルを使うことにした。『無敵無双(むてきむそう)!』
その言葉を唱えると、僕の体が一気に光った気がした。だが、それだけではなかったようだ。次の瞬間、彼女は消えていたのだ。そのことに驚いて、思わず声が出る。
「あ、あれ!?」
そう言って周囲を見回してみるも、誰もいないようだった。どこに行ったのだろう……?そう思い、周りを見ていると、後ろから声が聞こえた。
「残念だったわね」
振り返ると、そこにはさっきまでいたはずの彼女が立っていた。どうして?そう思いつつも再び攻撃する。だけど……当たらない。何度も何度もやっているのにだ。そんな僕を見ながら彼女は言った。
「無駄よ、今のあなたじゃ私には絶対に勝てない」
その言葉を聞き、ふと気づく。もしかして……今持っているスキルでは彼女には敵わないのではないかと。そうなると、もう倒すことはできないかもしれない……そう思っていたのだが、なぜか体は動くようだった。そして僕は叫んだ。
「最強無敵!」
そう言うと同時に目の前から彼女は消え、それと同時に目の前にあった岩が砕け散ったのだった。それを見て思う。やっぱりこの能力はすごいものだと。そうしてしばらく感動していると、また誰かが来る気配を感じた。その方向を見ると、そこにいたのはなんとあの委員長であった。僕は急いで戦闘態勢をとると、彼女に声をかけた。
「何しに来たんだい?」
僕がそう言うと、彼女は笑いながら答える。
「ふふふっ、決まってるわ。あなたを助けに来たのよ!」
助ける?一体なぜ……と思っていると、彼女は言った。
「実はね、私たちにも特殊な力があってね、それを使えばもしかしたら勝てるかもしれないってことになってるんだよ!」
そんなことを言いながら走ってくる彼女をよく見ると、その手に何か武器のようなものを持っているように見えた。あれは、剣だろうか?そう思いながらも、僕も向かって行く。だが、やはり彼女に追いつくことはできず、僕は負けてしまった。
「うぐっ……」
そう言いながら倒れる僕に彼女は近づいて来て言った。
「大丈夫?ごめんね……でも……仕方ないことなんだよ」
僕は何も言えなかった。ただ悔しかったからだ。最強と言われた僕がこんな簡単に負けるとは思いもしなかった。だからこそ……もっと強くなりたいと思った。でも、今はそれよりもやらないといけないことがあるので、そちらを優先することにした。
「とりあえずみんなのところに戻るよ!」
そう言って走り始めると、彼女もついて来てくれたのだった。
===
私がみんなの所に戻ると、みんなはさっきの女と戦っていた。その状況を見て、みんなは負けたんだなと思った。だが……私は負けるわけにはいかない。だって、私の後ろにいる大魔王様の命が懸かっているから。だから……ここで頑張らないと……!そう思って一歩踏み出すと、どこからか声がした。
「待て」
私はその声に驚いた。なぜならその声は聞いたことがあったから。でも、そんなことはありえないと思って、もう一度見渡す。しかし……誰もいなかったので不思議に思っていたらまた声がした。
「下だ」
その言葉に反応すると、確かにそこには誰かがいるのが見えた。そして、そいつは言った。
「俺は、お前を倒す」
それを聞いた瞬間、すぐに逃げようとした。しかし、なぜか体が動かないことに気づく。なんで?そう思っているとそいつは言った。
「無駄だ。お前は俺に指一本でも触れられなければ死ぬぞ」
どういうこと!?そうは思ったものの、動けないのでどうしようもないので諦めることにした。
「……わかったわ。でも、あなたが私に勝てたらだけどね!」
そう言い放つと、彼は言う。
「ああ、安心しろ。俺は負けないからな」
そんな自信満々な彼だったが、私は勝つ自信しかなかった。だって……彼がいくら強くたって私の方が強いに決まっているから。そして、戦いが始まった。その瞬間、私と彼は消えたのだった。
===
俺と彼女が戦った結果、俺は勝ったのだった。だが、正直言って俺もギリギリの戦いだったので危なかったと思うし、まだまだ成長できそうだと感じた瞬間でもあった。俺がそんなことを思っている間に、他のみんながやってきて俺に向かって言った。
「よくやった!さすがは俺の仲間だな!」
そんな言葉をかけられたので俺は照れながらも返事をした。
「ま、まぁ当然の結果ってやつだよ」
そうは言うものの内心では嬉しい気持ちもあった。こうしてみんなに褒められることなんて初めてだったからだろう。そこで、俺はふと思った。そう言えば彼女はどこへ行ったんだろう?と思い探してみると……彼女はそこにいたのだった。彼女は俺の仲間の一人の女に介抱されていた。それを見た俺は少し複雑な気持ちになったが、とりあえず俺たちは城に戻ることになったのだ。
それから三日ほど経ってからのことだった。ようやくみんなから信頼されてきていた俺たちにとある情報が飛び込んできたのだ。それは、勇者が復活したということだった。どうやら、国王様はそのことを隠すつもりはないらしく、みんなを集めたのはそれが原因だったようだ。そして、俺たちの出番となったわけだが、その前に一つ問題があったらしい。それは、俺たちが全員揃っていなかったことだ。なので、みんなには先に準備をするように言い渡し、俺だけ残って話をすることにして残ったのだった。ちなみに、その時にはもうあの女はいなくなっていたのだが……それはどうでもいいことだろう。さて、そんなわけで話の続きをするとしよう。そして、話し合いが終わった頃になって、ようやくクラスメイトたちが帰ってきた。そして、そいつらが言うには、これから出発するらしいとのことなので、早速行くことにしたのである。
===
あれから二日経った時のことだ。私たちはついに魔王城に辿り着いたのだが……魔王がいるはずの部屋に入った瞬間……私の目の前には絶望しか見えなかったのだ。何故なら……私の仲間であるはずの奴らやあの委員長までもが同じ状態になっているのだから……そう考えているうちに魔王が話し始めた。
「ほう……ここまで来たのか……ならば相手をしてやろうではないか」
そう言った瞬間、私の隣にいた男が消えたかと思うと……魔王の顔面に向かって蹴りを入れたようだった。だが、その攻撃は全く効いておらず、魔王は少し驚いていたがすぐに反撃を開始した。そこから先はあまり覚えていないが、気がつくと私はボロボロの状態だった。だけど、その時だっただろうか……不思議な感覚に陥ったのだった。まるで何かに守られているかのような安心感があったのだ。そんなことを考えていると……突然魔王の動きが鈍り始めた。何事かと思っていると、急に後ろから声が聞こえたのだった。それも知っている声だと思いながら後ろを見るとそこにはあいつがいたのだった。あいつというのはもちろん私のことであり、あいつは言った。
「あとは任せろ」
そう言われたので思わず安心して任せることにした私だったのだが……その瞬間に見た彼の姿はどこか大きく見えた気がしたのだった。
===
私が彼女を守っていると彼女は言った。
「後は任せたよ!」
そう言って笑う彼女を見ていると何だか元気が出たような気がしたので私は笑顔で答えた。
「ああ、任せておけ」
そして彼女が私から離れようと歩き始めた瞬間に……彼女は一瞬で消えたのだ。それに気づいた時にはもう遅くて……魔王の攻撃はすぐそこまで迫っていた。これはまずいな……と思いつつも私は全力で攻撃を始めた。そして、攻撃している最中にふと思い出したことがあったのだ。それは、彼女の名前だ。今まで聞く暇もなかったため忘れていたが今なら聞いても大丈夫だろうと思った私は攻撃をしながら彼女に聞いてみた。すると、意外な答えが返ってきたのだった。その名前を聞いて驚きながらも、攻撃を続けて行った。
そうして攻撃をしているといつの間にか時間が経っていたようで周りが見えなくなっていることに気づいた。さらにいうとこの状態では自分がどこにいるのかもわからなかったのでどうしようか考えていたのだが……そこで声が聞こえてきたのだった。その声はとても優しい声で私の耳に入ってくると、なぜか安心することができたのだがそれと同時に懐かしい感じもあって不思議な気分になった。そしてその声の主は私の名前を教えてくれた。それを聞いて驚く私であったが、その声を聞いているうちに眠くなってきてしまったのだった。
===
「これで全て終わったわね……」
そう言うと同時にその場に倒れ込んだ。理由は簡単だ。魔力をすべて使い切ったからだ。さすがにもう無理である……そう思い、このまま寝ようと思っていたのだが……そこでまた声が聞こえるのだった。
『大丈夫?お疲れ様!』
その言葉に反応し目を開けるとそこには一人の女性がいた。そして、その顔を見た私は驚いたと同時に安心したのだった。なぜなら、その顔は私にとって大切な人と同じ顔をしていたからである。それを見て思ったのだ。やっと会えたのだと……そう思いながら彼女に抱きついて泣いてしまったのだった。しばらくして泣き止んだ後に彼女は言った。
「じゃあ行こうか!」
彼女がそう言い歩き出したのを見て私もついて行くことにしたのだった。しかし、その時の私にはまだ知らなかったのだ。この後の悲劇のことを……だがこの時の私にはそれを知る由もないのである……いや、もしかしたら本当は気づいていたのかもしれないのだが……まあ、今となってはそれを確認する方法などあるわけもないので考えても仕方ないことなのだが……。それでも気になるという人のために少しだけヒントをあげることにしようと思うので考えてみると良いだろう……。
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彼女と一緒に歩きながら考えたことを頭の中でまとめてみることにするとこうなった。
・まず、この世界は偽物だと言うこと →つまりここは私がいた世界ではなく別次元にある世界だとわかるだろう?だからここには誰もいないわけだ。それに気づくことで私は気づいたわけだよ……そう、私は死んでいると言う事実をね……。何故死んだのかと言えばそれは簡単な話で交通事故に巻き込まれたからに他ならないわけだが……その際に一緒に死んでしまった人がいたらしいのだがそれが誰だったのか思い出せないのだ……。しかし、これだけでも重要な事実が隠されていることはわかっているのでそれだけは忘れないようにしておくことだな!
・そして次に考えなければいけないのが、どうして私たちが異世界転生したのかについてなのだが、それについてはもう予想がついているはずだな?そう……私たちを召喚した国が滅んでしまうからだということは……この話の流れからしてもう言わなくても分かるとは思うが一応言っておくぞ!
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