恋するをとめ譚

緑がふぇ茂りゅ

恋するをとめ譚 起 「発つ」

 遥か遙か、現世よりも遠い場所で、少女は任命された。

 此処へ来てから一箇月、余りにも任命は早く、周りの受付は無い目で少女を睨んだ。

 少女は目を受けることなく、令状を受け取ったのち、部長に仕事の概略を聞いた。聞いて、十分に理解した少女はさっそく転移マシーンを起動、ちゃくと座って目的地へと旅立った。

 みな化け物は此れを見て、部長や偉い立場に向かってたらふく誹謗したが、遂にはこうべを垂れて、各々持ち場に戻った。


 ちょうど化け物が働き直したところ、少女はとある海の深くに転移した。

 本来一分さえも海にいてはならなかったが、此処は現世と違うので、彼女は安心して任務を遂行出来る。

 ここで、少女は上司から貰った書類を見る。耐水の所為かやたら浮かぼうとする紙には、「みのかみしづる。そうきゅうにこれらをむすぶ。」と書いてあった。意味としては、水の神様の縁結びである。

 ふと、目的欄の横に、「イオリ」と書いてあるのに少女は気がついた。実は自分の名前に覚えがなく、丁度なにか仮名が欲しいと思っていたので、以降自分の名前をイオリとした。

 目的地は巨大な城というのも把握し、イオリは、得意なクロールで場所へと向かうのだった。

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