琥珀色

@mhgf12300

第1話  冒頭

    蒸し暑い夏、蝉時雨が爆弾のように私の頭上に降りかかる。


        8月16日 午前11時47分 

     サッカーボールを蹴り飛ばす音、子供たちの騒ぎ声を横目に、木目が少し荒い茶色いベンチに一人腰かけていた。

どうやら、ひとりの少年が私に気付いた様に手を振ってくる。

「おーい!おねえちゃん、一人で何してんのー?」焼きおにぎりのように焦げた肌と短髪が特徴的だ。もちろん、返事を返す気はない。

何故なら私の右手はソーダ味のアイスを持ち、それを頬張っている。

また一人の少年が気づき、今度は手を振る男の子を不審そうに見、私のほうにその視線を向ける。

そして、「辞めとこうよ、アイス食べてるし、」「それに、女の子じゃん。やらないよ。」

今度は対象的な黒メガネがよく似合う知的そうな少年だった。皆をまとめるリーダー

らしい雰囲気が滲み出ている。

周りの子供たちも手を止め、皆、賛同していたから、おそらく、そうだろう。


(流石に居づらいな。)と思い、逃げるようにしてその場を去った。


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