夢の世界
柚子桃しずく
第1話 平凡な高校生
わたし、月島葵(つきしまあおい)普通の高校生。
毎日、普通の平凡な生活を送っている。
ただ一つだけのぞいて。
ある日、いつものように一日が終わりベッドに入った。
そして眠りについた。
わたしは毎日夢をみる。
人は毎日夢を見ているようだ。でもたいていの人は朝になると忘れているらしい。
夢を見ない人も何人かはいるらしいが、ほとんどの人は見ているらしい。
わたしは毎日夢を見るだけではなく、内容をすべて覚えている。
まるで映画3本立を見たかのように満ち足りている。
そして、朝起きると半端なく疲れている。
疲れているからと言って、悪い夢ばかりではない。
この間は、好きなアイドルとデートをする夢を見た。
――でも……これは最後銃撃戦になったな。
まあ、そのまま最後までデートを楽しめるときもある。
空を飛ぶ夢を見たときは、気持ちがよかった。涼しさや風も感じながら飛べるんだ。面白いことに夢も時代が感じられる。
幼いころに空を飛ぶ夢を見たときは、夢の中で腕をバタバタさせながら飛んでいた。
――あれはかなり疲れたな。
今では屋根をひとっとび。ひと蹴りでかなり飛んでいられるようになった。
こんな感じで夢も時代でかわる。
そして、いつものように眠りについたわたし。
夢の中で、誰かが話かけてきた。
「ねえ、きみ」
声は聞こえるが、姿が見えない。
「だれ?」
わたしは、夢と現実がわからない感じでとりあえず目を開けた。
「ここだよ、ここ」
その子は部屋の窓に座っていた。でも、体は少し小さい。
――妖精?夢かあ~
夢の中で妖精が話していると思っていた。
「きみ、よく夢みるね。しかも次の日に前日の夢の続きを見れるなんてすごい!」
さすが、夢。そうなんです、わたしは前日の夢の続きを見れるんです。
そのことを知っているなんて自分しかいない。
だから、夢の中だろうと思っていた。
「きみに、お願いがあるんだ。というか、きみにしかできない」
夢だから、どんどん話は進んでいく。
わたしも夢だから、調子にのって聞いてみた。
「お願いってなに?」
妖精はいそいでいるようだ。
「とりあえず、説明はあとで」
「とりあえず、寝て」
「えっ!寝ればいいの?」
「うん、そうだよ。寝たらぼくがいるから」
「うん、わかった」
わたしは、とりあえず夢だし妖精の言う通りに寝てみた。
夢の中で寝ることはよくあることだからなにも違和感なく従った。
すると、知らない街並みの夢を見始めた。
そして、そこに妖精がいた。
「じゃあ、行くよ。ついてきて」
と言って、飛んで行ってしまった。
わたしは驚いたけど、夢だしわたしも飛べるのかと思いひと蹴りしてみた。
「わあっ!」
やはり、飛べた。
飛んだその先に妖精がいた。
「遅いよ。あとこれを」
妖精が何かを投げてきた。
「えっ、なにこれ?」
「それを、うでにはめてみて」
「わかった」
わたしは、それを腕にはめた。
すると拳銃が飛び出し、勝手にももに装着された。
――えっ、えっ、拳銃?
「それはきみの武器だよ。その腕にはめたバンドは、はずさないでね」
妖精はそういうと、また飛んでいった。
わたしも妖精についていった。
「あそこだよ。ほら、あそこに黒い塊があるでしょ」
「わあ、なんか生きてるみたい。動いてるよ」
「生きてるよ。生き物なんだ」
「今、ある人の夢の中にぼくたちはいるんだ。あの黒い塊をやっつけないと、この夢の持ち主は
あの黒い塊に飲み込まれて死んでしまうんだ。だから、その前に助けてあげてほしいんだ」
「わたしが助けるの?」
「そう」
まあ、夢だし拳銃も持ってるし大丈夫だろうと思っていた。
拳銃はこの間、夢で使ったので戦ってみようと簡単に思ってしまった。
ふと、下を見ると誰か人がいるようだった。
よーく見てみると、知り合いだった。
「わあ!綾(あや)ちゃん。綾ちゃんが黒い塊からにげている」
「助けなくっちゃ」
黒い塊に近づいた。すると、黒い塊の中心にクラスメイトの諒太がいた。
「えっ、諒太?どうしたらいいの?拳銃で諒太をうつの?」
「あそこを見て?あの子の近くに宝石のように光っているものがあるでしょ、あそこを狙ってうつんだよ」
「えっ、でも諒太にあたったりしない?」
「大丈夫だよ。その拳銃はお友達にはあたらない。その拳銃から出る光(ビーム)で黒い塊だけをやっつけることができるんだ」
「とりあえず、あの黒い塊に近づいて拳銃であの宝石を狙ってやっつけて」
わたしはとりあえず妖精が言う通りに黒い塊にもっと近づいた。
黒い塊はスライムのようにぷよぷよしているようだ。
わたしが近づくと手のようなものが出てきて小さい黒い玉を投げつけてきた。わたしは思わずよけた。
――さすが夢の中のわたし。
「攻撃してくるなんて聞いてないよー」
妖精はわたしに近寄り応援していた。
「頑張って。黒い塊に近づいたら迷わず狙って拳銃でうって」
「わかった。やってみる」
わたしはもう一度黒い塊に近づき宝石を狙って拳銃でうった。
宝石に命中すると黒い塊は溶けてなくなった。
そのとき、香水のボトルみたいなものが浮かびあがり中には黒い液体が入っていた。
今倒した黒い塊を吸い取ったらしい。
妖精はそのボトルを回収した。
「やったね。やっぱり、きみに頼んで正解だったよ」
「ふう。よかった」
「あの黒い塊は悪魂というんだ。最近、人間たちの夢であの悪魂が大量発生しているみたいなんだ。あの男の子も最近あの悪魂に悩まされていたんだ。現実の世界でなにかのストレスを感じていて、それがなかなか発散できず夢でも悪い夢を見るようになったんだ。その心が弱まった隙をねらわれたんだ」
「じゃあ、諒太はもう大丈夫なの?」
「とりあえず今は大丈夫だよ。でも、今現実の世界でかかえているストレスをなくさないとまた、悪魂にねらわれる」
「とりあえず、今日はありがとう。また、よろしくね」
妖精がそういうと、消えてしまった。
わたしは目がさめた。
朝になっていた。
すごく疲れる夢をみたと思い、そしてリアリティがある夢だと思った。
――でも、諒太が夢に出てくるなんてびっくりした。
「あ、学校おくれちゃう。支度しなくちゃ」
「うん? えっ!」
わたしは驚いた。だって夢でみたバンドが腕にしてあるのです。
――これはどういうこと?
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