あの春の君は

@Yuuki046

第1話

 桜の花びらが舞い上がる中、うちは新しい後輩を迎え、高校二年生に進級した。この学校は全寮制で学年ごとに棟が別れている。部屋が8人部屋から4人部屋になる。


 校舎内の掲示板にはクラス替えの紙が張り出され、その前には人集りができている。私も靴を変え校舎に入ると人集りから一人の女の子が突き飛ばされてしまった。


 うちは咄嗟に手を伸ばしたが間に合わず、その子は床に倒れてしまった。


「大丈夫?怪我してない?立てる?」

「大丈夫。ありがとう。」


 うちはゆっくりその子を立ち上がらせた。その子はロングヘアで可愛らしい顔立ちの子だった。掲示板の前の人集りがいなくなったあと、私達はそれぞれのクラスを確認した。


「加瀬…加瀬…」

「七海…七海…」

「あった!」

「同じクラスだ!」

「音に儚い?」

「うん。音儚」

「名前可愛いなぁ」

「唯ちゃん?」

「うん!あ、呼び捨てでいいよ」

「音儚も」

「1年間よろしくね」


これがうちと音儚の最初の出会い。

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