第10話 スター・ライトは激戦する!
「『お兄ちゃん、お兄ちゃん。うぐ。会いたかったよう』プラチナが、ライトに縋りつきます。どうしますか?」
言いながら、しおんも僕の腕にしがみ付く。役に入り込み過ぎているらしい。胸が、腕に当たる。柔らかい。
なんだか得した気分なので、ツッコまずに、ゲームを続行する。
「とりあえず、プラチナを連れて逃げ──」
「──その時です。ドオオオン! と、破壊音がして、一匹の
しおんの言葉が、風雲急を告げる。
予想通り、ピンサローが直々にやって来た。余程、プラチナを奪われるのが不味いらしい。
「それは……逃げる!」
九月の公園で、僕としおんはゲームに熱中している。そこは、ただの、何の変哲もない公園である。でも、僕としおんにとっては、異世界だった。
「『うおお。貴様はいつぞやのクソガキか! まさか、生きていたとはな。だが、その
猛々しく言う
「みんな。ピンサローが来たぞ! 作戦通り、あの場所まで逃げるんだ!」
ピンサローは強い。普通に戦っても勝ち目はないだろう。だが……!
「ここだ! 皆馬を降りて、陣形を組むんだ」
⚅⚅⚄
僕の作戦はこうだ。
辿り着いた橋は細くて長い。敵は、橋では一体か、二体ずつぐらいしか広がって戦えない。敵が橋を渡ろうとしたら、待ち構えたライト隊が、先頭の敵に、一方的にこれでもかと矢を浴びせる事が出来る。つまり、敵が橋にいる限り、1対10の形が延々と続くのである。
しかし、
「『馬鹿め。こちらにも弓隊がいることを忘れたか!』ピンサローが号令を発して、弓隊が川向うで陣形を広げます。どうしますか?」
「決まってる。陣形が固まる前に先制攻撃だ。総員、矢をお見舞いしてやれ!」
僕は号令する。すると敵とライト隊は、河を挟んで矢の射ち合いとなった。しかし、これも計算の内だ。
僕等の背後には太陽があった。夕日が、逆光となって敵の視界を奪っている。更に、
「本当に、この魔法が役に立つ日が来るとはね。「ライト!」」
次々と、
「『く。このままでは!』ピンサローが痺れを切らして、部下に号令を発します。すると、数匹の
「決まってる。皆、橋の鬼を集中攻撃だ!」
僕は号令をかける、すると、
「『ぐ。こうなったら。貸せ!』ピンサローは遂に痺れを切らし、部下から大盾を取り上げて橋を渡り始めました。どうしますか?」
「皆、ピンサローを集中攻撃だ! 他の
号令するなり、矢が、一斉に放たれる。それは少なからずピンサローに命中したが、大半は、大盾で防がれてしまった。
「もう、目前までピンサローが迫っています。魔法の射程圏内に入りました。ライト君はどうしますか?」
「渡り切ったら
そう言って、
「ダメージ判定ね。サイコロを振って」
しおんに言われ、6面体を9つ振る。ダメージは、29点。芳しくない数字だ。
ピンサローは倒れなかった。奴は着実に前進を続けて、もう目の前にいる。次の攻撃で仕留められなかったら、本当に、負けかねない。
「うおおお! もう一度! ライトニング・ボルトオオオ!」
サイコロを振り、再びダメージ判定。今度は、43点のダメージをお見舞いした。かなり良い数字だ。
だが……ピンサローは倒れなかった。
大鬼のターンになり、
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