夕暮れ
空が好き。
晴れた日の夕方は、よく空を見上げていた。
昼はみんな真っ青なのに、夕方になると纏う色が変わるのが面白かった。
日中あんなに真っ青だった空が、半分ぐらいしか残ってなくて。
とある日は、
普通繋がんないだろ、って色のグラデーションが建物の後ろへ溶けていった。
とある日は、
境目がわからないような、なめらかなグラデーションが地面の向こうへ消えていった。
もっと時間が経てば、青い空はすっかり塗りつぶされて、
赤や、紫や、オレンジが、僕たちの時間だと空を埋めつくした。
そうすれば夜はすぐそこで、あっという間に黒が全てを隠して明日へと連れていく。
空が騒がしいその時間は、
青い空や、黒い空の何分の1の時間しかなくて、
あっという間に過ぎ去っていく、
目を離した隙に駆け出している。
私が追いつくには無理があるから、
そうやって毎日見送る。
私を周回遅れにして、またその時間がやってくる。
そうしてまた、私は空を見上げる。
そのたびに新しい空が見えるもんだから好きになるんだ。
私は空が好きだ、そう思う。夕方の空なんか特に。
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