第152話 地獄の拷問
トバイアスとの愛の時間を終えたアメーリアは町娘の遺体を細かく解体して屋敷の庭に
作業をする彼女は終始笑顔であり、鼻歌すら楽しむ有り様だ。
そして血で汚れた手を水場で洗い流した彼女は立ち上がると、誰に言うでもなく声を発した。
「
そう言うと彼女はいつの間にか手に持っていた小石をある方向へと投げつけた。
それは鋭く宙を飛び、庭の建材置き場に立てかけられた木材の
「うぐっ!」
くぐもったその悲鳴は男性のものだった。
手の平に収まる小さな小石とはいえ、
アメーリアは素早く駆け出すと、建材置き場を回り込み、その男が立ち上がる前に彼の前に立ちはだかった。
「ふ~ん。あなただったの。昨夜も
そう言うとアメーリアはその男性の胸を足で踏みつけた。
「ぐうっ……」
踏みつけられた男は起き上がれずに
それはトバイアスの屋敷で二か月前から雇われていた馬丁の老人だった。
馬の扱いに
「ゆうべトバイアス様がどうやってワタクシを抱いたかも、誰かに報告するのかしら?
そう言うとアメーリアは老人を強引に引き立たせてその腹に拳の一撃を食らわせる。
「うがっ……」
あまりの痛みに老人は気を失ってしまった。
そして次に彼が目を覚ますと、そこは屋敷の地下に造られている
******
「起きなさい」
女の声が嫌に大きく聞こえて馬丁の老人はハッと目を開けた。
彼は両手両足を
アメーリアは
アメーリアはその顔に満面の笑みを浮かべ、後方で見守るトバイアスはいつものように冷たく無表情だった。
「さて……楽しい
アメーリアはそれほど大きな口を開けず静かに
そして薄暗い
壁際で
体全体を包み込む奇妙な感覚に老人はすぐに気付いた。
何か薬を盛られたと。
「うぅぅ……何を盛った?」
「へぇ。すぐ分かるんだ。
アメーリアはニヤリと笑う。
かつて砂漠島を統一したアメーリアは島内を探索中に偶然、
そこは
そしてそこには一巻きの書物が残されていたのだ。
中に記されていたのは薬と毒、そして人の神経に作用する麻薬など数々の薬物の精製方法とその効果だった。
これはアメーリアにとって授かりものだった。
その知識を得た彼女は麻薬で自分を信奉する狂信者たちを作り上げ、毒薬で邪魔者を消し去った。
彼女はこれによって真の黒き魔女となったのだ。
だが、その書物は不覚にも姉のアビゲイルに持ち去られて所在が分からなくなっていた。
その内容のほとんどはアメーリアの頭の中に記憶されていたので問題はなかったが。
「なら話が早いわ。あなたが眠っている間に、ある薬を飲ませたの。だから今あなたは全ての感覚が極限まで鋭敏になっている。ということは……」
そう言うとアメーリアは彼の手の甲を軽くつねる。
「いぐあっ!」
ただ軽くつねられただけだというのに、手の甲を鋭い
それが盛られた薬の効果だと知ると、老人は恐怖に全身が硬直するのを感じる。
その様子を
「この状態で
それから一時間、老人は声も
「いぎゃああああっ!」
アメーリアによって両手の
痛みのあまり顔は涙と
トバイアスは思わず顔をしかめたが、アメーリアはそれすらも気にせずに老人を痛めつけていく。
「ひっ……ひっ……も、もう……許して」
老人はアメーリアが予想したよりも
だが、いよいよ眼球にアメーリアの鋭い
自分を雇っているのは王国の第4王子であるコンラッドであること。
そして先日のトバイアス暗殺未遂事件で指示を与えたのが、コンラッドから要請を受けたダニア分家のクローディアだと言うこと。
そしてコンラッドが今、国境付近のある
それらを聞いたトバイアスは
「やれやれ。分家のクローディアか。また面倒な相手だな」
「殺しにいきましょうよ。トバイアス様」
嬉々としてそう言うアメーリアだが、トバイアスは首を横に振る。
「いや、まずはコンラッドだ。第4王子様に報いを受けていただこうじゃないか。俺の私兵を動かすぞ」
その言葉にアメーリアはわずかに不服そうに
「分かりました。では……死兵を向かわせますわ。あれなら少ない数で
死兵。
トバイアスは自分が発した私兵と同じ発音ながらまったく別の意味を持つ兵隊をアメーリアが使うことに気付き、その口の
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