第3話 髪

俺たちみんなで探したんだけど

探したんだけど、ねえんだよ


何が?


物が

あのね。ごめんね、お薬の他に


彼何か持っていなかったかなって?


財布だよ、財布!財布持って行かなかったかお前!!

持ってったろう!

持ってって渡したろう?誰かに!!


金だよカネ!

渡しただろうが金をよ!!

その髪切る時の金、あるわけがねえんだよあの家

俺たちが全部持って帰って管理することになっていたから

で、それ美容院にあるのね


な、なんで?


美容室の人が寝連絡くれて、それで私たち探して見つけちゃったんだ

たぶん忘れて帰ったんだと思うって、それでね


これ行っちゃうと、あった、あったんだけど


何が?い、遺書?


遺言書。読めないのね、手で握りしめていたから読めないのね

でもそれ、あんたの字かなーって

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る