ゴッド・ストーン
羽弦トリス
第1話デートにて
石神裕太は身体障がい者福祉施設で働く31歳の男である。
彼は今日は早出で朝6時半から夕方4時の勤務であった。
翌日は夜勤なので、夜勤は夕方5時から朝の9時までなので、少し時間が空く。
裕太の軽自動車の助手席に座っているのは、石神と同じ福祉施設で働く有村さくら28歳である。
2人は交際を初めて4年になる。
車は市内の映画館に向かっている。
「さくら、コーラ取って」
さくらは、運転手の石神のペットボトルのコーラを蓋を開けて渡した。
「あんまり飲むと、映画館でトイレ行っちゃうよ。最高のシーンを見逃す可能性だってあるよ」
さくらは、映画情報誌を読みながら言った。
2人は、『男はつらいんじゃないの』を楽しみしている。
湾岸線を走っている。ここから40分はコンビニも無く、ひたすらトイレを我慢しなければならない。
石神は額に汗をかいている。
「裕太君、暑いの?」
「い、いや」
「まさか、トイレ我慢してるの?」
「イエス」
「だから、あんなにコーラをがぶ飲みしないように言ったじゃない」
「お腹壊した訳じゃない」
「良かった。大きい方じゃなくて……」
「さ、さくら、今ピンチなんです」
「最寄りのコンビニまで後、30分はあるよ!この道、一時停止できない量の車が走ってるんだから我慢して!」
石神の呼吸が荒くなる。
「ハァハァ、さくらっ!その飲み終わったペットボトルの口を僕のチンチンに差し込んで!」
「やだ!」
「頼むよぅ~」
さくらは、石神のベルトを外し、ファスナーを下ろし、チンチンをペットボトルの口に入れようとしたが、大の大人のチンチンが入る訳もなく、新たな作戦が必要になった。
「裕太君、あと、5分くらいだから我慢して!」
「だ、ダメだ!ええい!」
石神は車内で尿を漏らした。
「最低~、裕太君」
「何とでも言え、着替えはあるんだから」
「でも、彼女が隣に座ってるのに、お漏らしするなんて、子供かっ!」
石神は、映画館の駐車場で下着とズボンを履き替えた。
昨夜、コインランドリーへ行き車に置きっぱなしで助かった。
シートには、バスタオルを何枚も敷いて尿を吸い取らせた。
後日、整備士に頼んで臭いを取ってもらった。
彼女はこの日以来、デートの前は必ずトイレに行く様にさせた。
『男はつらいんじゃないの』は、面白かった。
今回のハプニングは、さくらが闇に葬った。
石神は以来、ペットボトルを見ると今回のハプニングを思い出すのであった。
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