湖底から見上げた、金色の恋

ハッキリ引用されているとおり、人魚姫が一応元ネタの一つと思われる作品。だけど元ネタになった作品よりも陰鬱で、夢も希望もない。

結構引用した作品にイメージを引っ張られて、最後の展開はやや予想と違う感じでしたね。まあ……そうなるよねってよく考えたら思うんですけど。「湖と違う彼の瞳の色」ってのも恋する乙女の作り上げる物事の格差だけではなく伏線の一つかなぁとか思ったり。

夢も希望もない、とは言ったんですが、己の立場を弁えて、淑女でさえあった彼女の恋は確かに登場人物と読者に美しさを残すものがあり、どこにも残らない物語のようでどこかには残り続ける底力があります。終わり方がファンタジックで女の子らしさもあって綺麗ですね。人魚姫のように泡と消える事が出来ない分、彼女は誰かの心に残れたのでしょう。