第343話 ギルドで荒稼ぎ

 俺達は冒険者ギルドに向かうと早速冒険者相手に商いを始める。


「さあさあ! よってらっしゃい! みてらっしゃい! 伝説の名工カズーキが作ったモノホンの一品集! 良い装備品は早い者勝ちだよ!」


 俺の言葉に困惑している冒険者達が少しずつ集まってきた。


「誰だ? カズーキって...。 そんな武器職人聞いたことないぞ?」


「あいやそこ行く冒険者のお兄さん! ちょっとだけでも見て行ってくれんかね?」


「まあ、見るだけなら...」


 俺は早速冒険者のお兄さんに【烈火の剣+3】を見せた。


「これが名工カズーキの仕立てた【烈火の剣】! その刃の輝きはまさしく名工の名にふさわしい一品だよ!」


「へぇ...【烈火の剣】ねぇ、結構かっこいい形してるじゃねぇか!」


 そう言いながら彼が剣を手に取ると...!


「うおっ! これ本当に剣なのか!? めっちゃ軽いぞ!」


 驚く兄さんの言葉にわらわらと人が寄ってきた。


「でもさ、軽いだけで強度がないとダメだよね」


 後ろにいた女冒険者がそう呟くと俺はニヤリと笑う。


「ではお兄さん、貴方が持っている鋼の剣でその烈火の剣を切ってみてくだされ」


「良いのか?」


「はい」


 俺の自身満々な言葉に恐る恐る剣を引き抜く兄さん。


 彼が鋼の剣を振るうと、烈火の剣には傷一つついていない。


「こりゃすげぇ!」


 そう叫ぶ彼に俺はこう囁いた。


「では次に烈火の剣で鋼の剣を斬ってみてくだされ」


「あ...ああ」


 彼が烈火の剣を手に取り鋼の剣の刀身を斬りつけると...!


 サクッ...。


「嘘だろ!? 手ごたえがあんまりないのにサクッと切れたぞ!? 鋼の剣がまるでバターみたいだ!」


 お兄さんのその言葉が引き金となり、一気に人が押し寄せてくる。


「他には!? 他にはどんなのがあるんだ!?」


 急かされるように聞かれたので俺は鋼の剣の代価としてお兄さんに烈火の剣を譲り、そのまま他の装備品を他の冒険者共に見せつけるのでした。

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