第342話 宝石商
「【弱体術師】? あの悪名高い?」
「...」
どうやらこっちの大陸でも既に【弱体術師】の悪名は轟いているようだな。
しかし、それを聞いた宝石商は笑っていた。
「はははっ! 【弱体術師】の作る名作品ですか! むしろ良いですね! 名付けて【弱体術師の輝きシリーズ】とかですかね? いやいやはたまたは【邪悪な勇者の名鉱品シリーズ】とか言う謳い文句で売っても良いですね!」
「...お前、俺が【弱体術師】だと知って商談を止めないのか?」
その言葉に宝石商は再び笑う。
「いやいや、私達宝石商と言う者達は金に貪欲なのですよ。売れる宝石を世に出せして自分達が稼げると言うのであれば私は【弱体術師】
その言葉を聞いた時に俺は目の前の男に好印象を持った。
(ふむ、金が全ての男のようだな...。正直こう言う連中の方が扱いやすそうだ。俺が稼げている時には有効利用して稼げなくなったら王国に売り出せば良いとか考えているんだろうな...)
「お前、なかなかいい根性をしているな」
「いやいや、【弱体術師】様ほどではありませんよ」
「「ふっふっふっ...はははははは!!!」」
俺と宝石商は意気投合し笑い合う。
その様子を見ていたシュナが「今の和希様、すっごく勇者っぽくないです」と呟いていたのは言うまでもないだろう。
俺は宝石商に特別安く宝石を買い叩かせ、更にギルドの冒険者に売ろうと思っていた良質な武器や防具も数点彼に売ってやった。
(あれだけやれば大丈夫だろう。くくく...ちゃんと契約書にサインをしたし奴は商人だからその辺はちゃんとしてくれるだろう。俺の方にも契約書にサインさせてあるからな。裏切りは奴の社会的死を意味しているからな)
商人というのは1にも2にも信用が大切だ。
信用がなければどんなに良い商品を作っても大勢の人に買って貰えなくなるからな。
この契約書は奴が俺にちゃんと全体売り上げの1%を約束するための約束事が沢山書いてある。
一応目を通してみたがこちらがただただ不利になるような事は書いていなかった。
(宝石商。お前は商人の鏡だよ)
奴からは俺と同じ匂いを感じたので恐らく俺を裏切る事はないだろう。
まあ、仮に裏切った場合は地の底まで追っていくだけだがな。
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