第333話 仮想の栄華⑥
「【回復魔法+20】」
優樹がヒールで回復させてくれたと言うのにリィカの態度は変わらない。
「ギシャァ!!」
「もうっ! リィカちゃんは本当に私のこと嫌いだよね。まあ私はリィカちゃん好きなんだけどさ」
そう言いながらリィカを抱きしめる優樹。
「ギシャァ!! ギシャァ!!!」
「優樹、そこまでにして。リィカが嫌がってる」
「あはは、ごめんごめん!」
そう言いながらリィカを離す優樹。
「チッ!」
笑顔を浮かべる優樹に舌打ちをする◯◯。
この状況を見ていると妙に不穏な空気が流れているように思えた。
(なんだこの空気感...)
俺は知っている...。
この空気感を...。
俺は◯◯に注意を払いながらクラーケンを倒すための作戦を練る。
「サハギンを倒したとは言え、クラーケンは未だ海の上だ。この状況的に遠距離攻撃で決めるべきなのだろうが、良い案はあるか?」
「そうだな〜、ここから和希の電撃魔法でクラーケンをイカ焼きにするのはどうかな?」
「それもいいな、試してみるか」
別に倒せるのなら近づくことにこだわる必要性はないからな。
俺はメニュー画面を見て遠距離攻撃っぽい魔法を詠唱する。
「【雷撃+20】!!」
そのままのネーミングな魔法を放つ!
すると天高くから奴に電撃の雨が降り注いだ!!
凄まじい方向がこちらにまで聞こえてきたが、それでもまだ奴を倒すには至らない。
「くそっ! 火力が足りないか!」
「しかもあいつ回復してるよ!」
どうやらクラーケンは回復魔法を覚えているようだ。
ここからでも焼け焦げた体が徐々に元通りになっていくのが確認できる。
「このまま【雷撃+20】を連発していても勝てそうだが。時間がかかるな。ならばここは【幻影翼】→【擬似幻影龍】!!!」
俺がいつも通り【擬似幻影龍】を召喚しようとしたのだが、無論失敗に終わる。
「...何言ってるの和希?」
「う/// うるさい///」
優樹の言葉を聞いて赤面している俺に◯◯が助け舟を出してくれた。
「カズ君! フワンがカズ君を乗せて言ってくれるって!」
「えっ? でもフワンって今は小鳥だろ?」
そう、今のフワンの姿はまさしく小鳥と言った感じに見えるのだ。
「ううん、フワンはホワイトブルーバードっていう珍しい鳥で体の大きさを自由に変化させることができるんだよ」
「そうなのか!?」
「フワン! カズ君を乗せてクラーケンの所まで連れてって!」
「クピピィ!!!!」
フワンがそう叫ぶと人1人を乗せれるくらいの大きさに変化するのでした。
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