第332話 仮想の栄華⑤
俺たちがクラーケンの元へと辿り着くと少し押され気味のアル子達の姿があった!
海岸で必死に工房を繰り返しているがジリジリと後退させられている。
「よくもアル子達を! 許さない!」
そう言いながら◯◯は杖を振り上げる。
「【
「グギャ!?」
クラーケンの眷属であるサハギンどもが地面に打ち付けられたまま動けなくなった!
(すごいな! 一気に1万くらいのサハギンを貼り付け状態にしたぞ!)
いやまあ、俺にも出来なくはないが、彼女の場合一つのデバフを使っただけでこの威力なのが凄い所である。
「もしかしてお前の職業って...」
俺が◯◯の方に視線を向けると彼女はニコニコとした笑顔でこう答えた。
「そうだよ! カズ君! 私は【
「...◯◯! サハギン共の足止めを頼みたい! 任せたぞ!」
「カズ君の頼みならなんでもこなせるよ!」
彼女はそう叫ぶと杖を地面に打ち立てて呪文を詠唱した。
「我、【弱体術師】が天に願い地に願い自身の幸せを願う。その願いを受け取りし悪霊達よ! 我が願いに答え姿を表せ! 【
彼女がそう魔法を唱え終わると、異次元の間から上位悪魔が姿を現した!
「なんだこの魔法!?」
驚く俺に彼女は答える。
「【召喚魔術】だよ? 【弱体術師】は1人じゃ戦えないから【召喚魔術】を習得するのは当然だよね!」
「そんな便利な魔法があったのか...」
知らなかっただけにすごくショックが大きい。
「あっ、でも魔力消費が大きいから普段は使役する魔物達で戦ってるけどね」
「そうか...」
俺のテイム率が異様に低いからか、最初のアル子以外に未だにテイムしたことがないんだが...。
まあ目の前で戦っているアル子はおそらく別個体だろうし今更気にしても仕方ないだろう。
「【上位悪魔】! 雑魚共を蹴散らしなさい!」
覇気のある声で【上位悪魔】に指令を出す彼女の声は勇ましい。
「了解した、我が主人よ。【魔光雷】!!!」
【上位悪魔】の放った電撃魔法が一気にサハギンを蹴散らしていく!
(なんだ!? 結構な威力があるじゃないか!)
正直に言うと、俺の乱れ打ち以上の威力があるかもしれない。
「大丈夫!? 皆!!!」
「ピィ!!」
「フワン...は大丈夫そうね!」
「キュピ!」
「アル子も...大丈夫ね!」
「キュゥゥ...」
「リィカは少し危なそうだわ。優樹、回復魔法を」
「分かった! リィカちゃん。回復魔法をかけてあげるね」
「ギシャァ!!」
「きゃっ! もう! リィカちゃん驚かせないでよ」
あははと笑う優樹の手に触れられることを明らかに嫌がっているリィカ。
その様子に俺は違和感を感じているのでした。
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