第307話 世界壊れる!!

 俺はケロナの言葉に反論する。


「いやいやいやお前より強い奴がそんなに存在したら世界が壊れるわ!!!」


「そうだね、実際に世界なんていくつも壊れてると思うよ?」


 そんな言葉が出てくる時点で彼女は既に常人の域を脱しているのだろう。


「今の私よりも強い存在なら両手でも足りないくらい見てきたよ。いや、この刀の力を引き出せる全盛期の私より強い存在も何人もいる。実際に私はそんな奴らに何度も負けてきたしその度に強くなって這い上がってきた。そしてそれはこれからも変わらない」


「ケロナ...」


 そうだ、彼女だって最初からこんな力を持っていた訳ではないのだろう。


 俺には理解できない異世界での闘争を生き延びてきたからこそ、これだけの迫力を言葉と存在で示せるのだろう。


 そこに外見の幼さは関係がない。


 なぜなら、彼女が得てきた経験が俺たちを何度も助けてくれた事は変えようのない事実だからである。


 なんか良い事を言っている彼女だったが、そこまで呟くとギュルルとお腹が鳴っていた。


「そんなことよりもこいつを捌こうよ! お腹すいちゃったし、昨日ちょうど良さそうな調味料を見つけたからね! この調味料があればきっと...!」


 彼女は目を輝かせながら大王イカを見つめる。


「なんだ? イカ焼きでも作るのか?」


「イカ焼きも良いけどさ、せっかく鮮度の良いイカを捕まえたんだからやっぱりアレにしない?」


「アレっ?」


「そうそうアレだよ」


 彼女はそう言いながらイカを一口サイズに切り分けて綺麗に盛り付けていくのでした。


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