第303話 2人の決着
グワンと大きく船が揺れる!
「うぉっ!!!」
俺は思わずその場で低姿勢になった。
普段から訓練しているであろう騎士団の連中ですら俺時
と同じように低姿勢になっているのを見ると、別に俺だけがこの揺れを感じている訳ではないようだ。
せっかく作って貰った料理がそこら中に飛び散る中、平然と椅子に座れているのは戦闘員の3人しかいなかった。
「あっ! ケロナが作ってくれたサンドイッチが!!」
「危ないですよ! ラカラさん!」
ラカラが飛び出るのをアルシェが服を掴んで椅子に座らせる。
「和希様、大丈夫ですか?」
低姿勢になっている俺に優しい言葉をかけてきたのはシュナだ。
「シュナ、お前はこの激しい揺れの中でどうしてそう平然としていられるんだ!?」
俺の言葉に彼はキョトンとしている。
「いや、普段の戦いの方がこんな揺れよりもよっぽど揺れてますからね。このくらいなら平気ですよ」
むしろ笑顔を振りまく余裕のある彼女に俺は驚いていた。
しばらくすると揺れが治まってきたので2人の決着の行方を確認する。
「...」
「...」
ケロナもリュートもお互いに武器を握りしめながらその場に立っている。
鍔迫り合うようにお互いの武器をぶつけあったままその場から動かない。
しばらくの間静寂が続いていた次の瞬間!!
ボキン...と鈍い音を立てながらケロナの木刀が折れた。
「おおっ! それではこの勝負! リュート騎士団長の...!」
騎士団の連中がそう呟いた時だった。
ピキピキ...パキン。
今度はリュートの剣が粉々に崩れ去った。
刀身が完全に折れているのでもう使用できないだろう。
(これは...どっちが勝ったんだ?)
お互いの武器が壊れたのでどちらが勝ったのかいまいちピンとこない微妙な空気が流れる中、騎士団長が声を上げるのでした。
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