第302話 魔物少女と騎士団長の決闘⑥
木刀と真剣の打ち合う音が甲板中に響き渡る。
「...やはりやりますね。いやこれは予想以上ですよ!」
「そっちこそ、私ももうちょっとスピードアップしても良いかな!」
更に戦闘スピーを加速させて行った結果、俺を含め殆どの者が目で追えないレベルにまで戦闘が激化した!
「どこに行った!?」
「音だけがそこら中から聞こえるぞ!!!」
騎士団の中でも殆どの人間が目で追えていない中、俺たちの戦闘職連中はまだ見えているようだった。
「あっ! いま飛びましたね! 空中で三回程ぶつかった後にお互い弾き飛び、その後魔法で撃ち合いを始めました」
「そうですね、見た所ケロナさんの方が優勢でしょうか?」
「いやいや、赤髪もやるよ! まだ分からないでしょ!」
シュナとラカラとアルシェにはあの動きが見えているようだ。
「すごいなお前ら、あんなの見えるのか?」
「兄ちゃん、あのくらい見えてないと命がいくつあっても足りないぜ、まだまだスピードアップするからな」
確かに、最前線の中でも更に最前線で戦ってきたこいつらだからこそ見える物があるのだろう。
現にシュガーの奴は...。
「おい! 和希! 音しか聞こえないぞ!!!...ってアババババ!!!」
と興奮して俺の事をご主人様と言わなかったから電撃のお仕置きを受けている。
「馬鹿かこいつは、自分が奴隷だって事を忘れるな」
「は...はい」
しかし、こう戦いが長引くとそろそろ終わらせにかかってほしい。
実力が拮抗しているのか、それとも2人共が遊んでいるのかは知らないが、航海も続けないと行けないのだと分かっているのだろうか?
俺がそう思っていると、2人が姿を現す。
「ケロナ様、あなた様の実力はかなりの物です」
「なに? もう終わりにしとくの?」
「いえ、私的にはもう少し長い時間楽しみたいのですが、既に30分程時間を使ってしまいました。残念ですがこれ以上の時間を戦いに割くわけには行きません。なのでこう言うのはどうでしょうか? 【鳳凰刃・攻めの構え】」
彼は剣を掲げて何やら凄い技を繰り出そうとしている。
「次の一撃で武器が壊れた方が負けと言うのは?」
「面白いね。乗ってあげる!」
そう叫んだケロナは木刀に水の魔力を乗せた。
お互いの力が充分に溜まった時にお互いに剣をまじ合わせる!
「【鳳凰刃・高炎斬】!」
「くらえ!」
リュートの炎剣に技すら使わず、普通に水を纏わせただけの木刀で挑むケロナ!
2つの巨大な炎と水の衝撃に船は大きく傾くのだった!
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