第295話 極上のディナー⑦

 しばらく苦しそうな表情を続けていた料理長がついに折れた。


「分かった...。ケロナ殿、先ほど小汚い魔物などと罵った私をお笑いください。貴方様の方が卓越した料理技術をお持ちであると言うのに、私は貴方の作ったステーキを食べるまでそれすらも見抜けませんでした」


 その言葉にケロナはニッコリと笑う。


「うん、謝ってくれるのなら別に良いよ。さっ! 料理を教える前にまずは私の料理でも食べてってよ! 食べることも料理人には必要な事だからね!」


「...はい!」


 完全に師匠と弟子の関係になった2人を見て周りからは惜しみない拍手が送られた。


「さぁてと、じゃあ皆! 最後に私の作ったデザートを食べてって!」


 ケロナがそう叫ぶとケロナの作ったデザートが運び込まれてきた。


「こ...これは!!!」


 俺は最後のデザートに驚いた!


 なぜなら、最後のデザートがどこからどう見ても日本でよく食べていたチョコレートケーキだったからだ!


 見ただけでもう涎が垂れそうのなるのを止められない!


「さあ! なんか分かんないけどデザートに出す予定だったケーキだよ!」


「ケロナ様レイアンケーキですよ」


「あっそう、じゃあレイアンケーキだ!」


「レイアンだと!?」


 俺はその言葉で喜びに満ち溢れる!


 レイアンタールと言う食べ物を以前食べた事があるが、あれでも充分に甘党である俺の欲を収めてくれた。


 そのケーキ版という事は...!


 そう思うだけで興奮が抑えられなくなってくる!


「じゃあデザートを頂きます!」


 早速ラカラがケーキにフォークを突き刺した!


 子供のように無邪気にケーキを頬張る彼女の表情はとても幸せそうだ。


「う〜ん! 甘くて美味しい!! 舌触りも良いし流石ケロナだな!」


 ぱしんぱしんとケロナの肩を叩くラカラを見て俺の食欲が爆発した!


 ケーキを綺麗に裂きながらも、俺は急いでそれを口に入れる...!


 ...じゅわっ♡


(なんだこのチョコケーキ! 口の中で溶けたぞ!?)


 口に含むと甘さの塊が一瞬にして口中を走り回った後に消滅したかのようだ♡


「...っ! 美味い!!!」


 超甘党の俺が100点満点を出したくなる程の極上品質に思わず叫び声を上げるのだった。

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