第279話 大聖堂への誘い

 俺とシュガーが町で歩いていると、ようやくクリスティーナ王国からの救援がやってきた。


 相変わらずの兵士長が現れたので俺は気分を悪くする。


「なんだよまたお前か? 流石に顔を見飽きたぞ」


 俺がそう呟くが彼は黙ったまま動かない。


「なんだよ、なんとか言ったらどうだ?」


 俺の回答にすら答えない。


 不思議に思っていると...。


「失礼します。貴方が噂の【弱体術師】様ですね?」


「【弱体術師】?」


 赤毛の白い騎士服を纏った若い男が俺に声をかけてきた。


「失礼、私はクリスティーナ王国の騎士団長をやっているリュート=カナイツアと申し上げるものです」


「...そりゃどうも。っで? なんでそこの兵士長は喋らないの?」


「彼は何度も貴方様を貶すと言う暴挙に出ていました。これは当然の報いということですしばらくの間沈黙の魔法をかけて反省して貰っています。あっ! ついでにただの兵士に降格させましたのでもう彼は兵士長ではありません」


 良い笑顔のまま話つづけるリュートという男は本当に話しやすい。


「お望みとあらば沈黙の魔法を解き貴方様に謝罪させますがどうしますか?」


 俺は兵士長の顔を見るといつもの目つきで睨んできたので「いや、いいわ。謝罪よりも他の言葉が飛んできそうだし」と返す。


「分かりました。では本題に入らせて貰います」


 彼は王からの手紙を掲げて読み上げる。


「勇者諸君に次ぐ。此度の戦争を4度に渡り退けてくれた事を深く感謝する! 此度の話は他でもなくサウライッツ大聖堂にてクラスアップの儀を行なって頂きたく手紙を信頼できる我らが騎士団長リュートに託した。勇者諸君は彼の指示に従ってもらいアルセージから出向予定の王国の船に乗ってほしい。との事です」


 初めて聞く単語が出てきた。


「クラスアップ? 何だそれ」


「知らないのですか?」


 俺の反応を見ていた彼は丁寧に説明し始めるのでした。

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