第270話 俺自身
「はぁ...はぁ...はぁ...!」
全身から嫌な汗が流れ落ちてくるのを感じる。
『感情の沈静化により以下のスキルを強制的に解除します。[【叛逆の意思】【弱者の怒り】【怒りの魔力暴走】【怒りの弱体術師】【嫉妬の悪魔】【恨みの連鎖】【忘却の向こう側】【生きる苦悩】【感情の勇者】【憤怒と憎悪と嫉妬と恨みと忘却と苦悩の杖】]』
俺の感情の化身とも言える杖と鎧が消失して行く...。
全身に気怠さが残り凄い疲労感に襲われた。
しかも残りHPが50を切っている。
(もう少しで死ぬところだったな...)
俺は目の前にいるケロナに礼を言う。
「ケロナ...助かっ...」
「ゴフッ!」
俺が言い終える前に彼女は吐血した!
「おい! 大丈夫か!?」
「やっぱり...小さい体で【極限】の力を使うのは無理があった...。反動で全身が死ぬほど痛い...!」
蒼き髪が元の黒色に戻って行く。
「無茶させたみたいだな、悪かった」
その言葉に彼女はこう返した。
「ううん、仲間でしょ? このくらい当然だよ」
ボロボロの体でそう呟く彼女の笑顔は凄く眩しかった。
「そうだ! 優樹は!?」
俺はガバッと立ち上がり優樹の方を見る!
「私の頑丈さ、忘れてないでしょ...」
「優樹...!」
俺は元気そうに笑顔を作る優樹を見て安堵したが、やはりダメージは大きいようだ。
「動くな、じっとしてろ」
「私が回復魔法をかけてあげる」
ケロナが優樹に回復魔法をかけている間に俺は奴らの方を振り向いた。
「そういえばフワン達は何処いったんだ?」
「あの鳥どもならとっくに時間切れで何処かに消えちゃったよ。全く和希がちゃんと仕留めないからこう言うことになったんだから反省してよ」
ケロナの言葉に俺は苦笑いしかでない。
「そうだな、悪かった」
はあっと大きくため息を吐くケロナは俺の耳元でこう囁いた。
「あの杖はもう2度と使わないでね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます