第226話 パワーレベリング

 俺達はさっさと今の町を後にして4つ先のテローゼ村にまでやってきていた。


 その村はどう考えても人が住めるような環境ではなく、地図にすら書いていない場所にある山奥の村だ。


 しかもここら辺に出てくる魔物は最低でもレベル50程度、最高なら90行くか行かないかと言う危険地帯だ。


 こんな所を修行場所に選んだのは勿論ケロナである。


【擬似幻影龍】で空を飛んでいると山と山の間に小さな集落を見つけたケロナが「あそこにしよう」とか言い出したのが始まりだった。


 その集落は50人程度の村人達からなる小さな物だったが、当然そんな所に住んでいるので全員レベルが異常に高い。


 子供ですら60〜70程度のレベルを誇っており、来たばかりの俺たちよりも圧倒的に強かったのだ。


 初めて集落以外の人を見た村人達は最初こそ驚いていたものの、ケロナが料理を振る舞うと一瞬にして仲良くなれた。


 その後はレベル上げの毎日だ。


 強い敵をとにかく狩りまくると言う単純作業を毎日のように行った。


 ちなみにこの村はギルドがないので金は手に入らないが、代わりに希少な魔物の素材や薬草などが手に入るのでありがたい。


 事件は俺たちがテローゼ村で1週間を過ごした時に起こった。


 今日もいつものように村の外に出て強敵達と戦おうとしていた時だった。


「じゃあ今日も狩りに出るぞ」


 俺がそう呟いた時だった。


「すいません和希さん、うちの子を知りませんか?」


 顔見知りになったソラウおばさんに俺は町を出る時に声をかけられたのだ。


「いや、見ていないが。どうかしたのか?」


「実は昨日から帰ってきていないんですよ。あの子はまだレベルが67しかないのであまり遠くに行かないように言い聞かせておいたんですがね。もしよろしければ今日の狩りの最中に子供を見つけたのなら手を貸してやってくださいませんか?」


 断る理由もないので俺はそれを了承した。


「分かった、一応気をつけて探してみる」


「ありがとうございます」


 彼女の願いを聞き入れた俺は村の外へと出るのでした。

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