第221話 自己紹介③
しばらくお互いの手を握りしめあった2人はようやく手を離した。
「どう? 私の手の硬さ分かってくれた?」
「...はい」
アルシェはケロナの手の硬さに何かを思いついたような表情を浮かべている。
「そう、それは良かった。見たところこの中で私と相性が1番良いのはアルシェのようだから、後で私が貴方に特訓してあげるね」
その言葉にアルシェは「はい!」と答える。
「じゃあ私も目的地に着くまでの間は眠らせて貰うね。和希ほどじゃないけど異世界で連戦してきたから体がクタクタでさぁ」
ケロナはそう言いながら優樹の太ももを枕代わりにして眠り始めた。
「ちょっと失礼するね」
「ケロナちゃんなら使っても良いよ」
頭を太ももの上に置いたらすぐに眠ってしまうケロナ。
「眠っていたらただの女の子みたいだね」
「ふんっ! ケロナには私の凄さを後で見せてやるんだから!」
優樹はケロナの頭を撫でて続け、ラカラはすごい剣幕でケロナを眺める。
まるでライバル視しているかのようにその視線は熱い。
そしてその後で優樹の方を見たラカラがこう呟いた。
「...私は優樹に負けないから」
「えっ? ラカラちゃん?」
「優樹が兄ちゃんの事を1番よく知っている事は分かっているつもりだよ。でも私はお姉ちゃんに絶対に負けないから!」
その言葉にキョトンとしている優樹は「ちょっと何言ってるか分からない」と返すのみ。
相手にされていないのだと気がついたラカラはより一層の声を上げた。
「ええ〜!? それが優樹の余裕ってやつなのか!? 足元掬われても知らないからな!」
ふんっ! と再びそっぽを向くラカラに優樹はこう言うのだった。
「ラカラちゃん...」
「なんだよ」
「もしかして反抗期?」
「ちがーう!!」
完全に的外れな答えを繰り返す彼女にラカラは疲れ果ててしまうのでした。
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