第220話 自己紹介②
フンフンと鼻息を荒げながらラカラが声を上げる。
「私はラカラ! この中で最年少だからって甘く見ないでよね!」
「いや、別に舐めてはないけどなんでさっきから会話の途中に口を挟んできたの?」
「そ..それは!」
そこまで言うとラカラの口が止まる。
それを見てケロナが「はは〜ん、さてはお前和希の事が好きだな?」と呟いたのだ。
それを聞いた盗賊少女は分かりやすく取り乱した。
「なっ!? ち! 違う!!!
「そう言うの良いからケロナ姉さんに任せなさい!」
ケロナはラカラの耳元でこう囁く。
「良い? 和希みたいな奴は基本的に推しに弱いんだから推して推して推しまくればきっとイチコロだよ」
「推して推して推しまくるって具体的にどうすれば良いんだよ?」
「ん〜...そうだね。まだ色気には期待できないからプレゼントとかかな?」
ラカラの体を見てそう呟くケロナに怒りの言葉を投げかける!
「なっ! 私のボディに色気がないだって!?」
「いや、今の私が言うのもアレだけどないでしょ? ラカラはつるぺったんの子供だし」
その言葉にムッキィィ!! と怒りの声を上げる盗賊少女。
「見てろケロナ! 私が成長したら絶対に巨乳になってやるんだからな!」
プンスカ怒ってしまったラカラは再びプイッとそっぽを向いた。
「ハハッ、これは嫌われたね。じゃあ最後にあなた。アルシェだっけ?」
「はい、あってますよケロナさん」
礼儀正しく返したアルシェにケロナはこう呟く。
「貴方は...貴族?」
「まあ、分かるんですか?」
「まあね。大体手や体の鍛え方を見ていたら分かるよ。貴族って奴は嗜みの為にしか剣を振るわないからね。それでも強い奴はいるけど、基本的にそう言うところで育った奴は混戦に弱いんだよね。ほらっ貴族の嗜みって事は一対一の実技が多いからね。周りを囲まれたら全く反応できずにやられちゃうんだよ」
ペラペラと喋るケロナの言葉になるほどと頷くアルシェ。
「確かにケロナさんの言う通りですね。そう言う貴族は多いですし、なんなら私のような女が剣を持つことすら良しとしない者もいます。ですが私はそう言う冒険家になりたいとずっと昔から思っていました」
「へぇ...、確かにそんな感じの手はしてるね。貴族の手だけどそれにしては剣を握ってきたような手をしてる。ちょっと握らせて貰うね」
そう言いながら彼女の手を握るケロナ。
「...えっ?」
しかし、その握手でより反応していたのはアルシェなのだった。
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