第152話 【弱体術師の旅路】②
【弱体術師の旅路】の加筆部分を見て見ても名前の部分は全て黒く塗りつぶされていました。
しかし、今回の加筆により最初の戦争と次の戦争までの部分が明らかになりました。
まあ、大体同じ内容で最初のボスはオークキング、そして次のボスはドラゴンゾンビだ。
場所も全く同じでこの本の【弱体術師】は難なく進めていたようだ。
それもそのはず。
何故ならこの時の勇者達は全員が力を合わせて戦っていたらしいのだ。
パーティ編成は【勇者】【賢者】【戦士】【弱体術師】【回復術師】と言う俺たちよりも一人勇者が多かったパーティらしいのだ。
前衛が一人増えた上に全員が力を合わせていたのならば楽勝だろう。
しかし、懸念点が一つあった。
(...ないな)
そう、リィカとか言う吸血娘との戦闘が描かれてないのだ。
勿論俺たちとこの本の中のストーリーが全く同じと言う訳ではないが、かなり似ている部分もある。
例えばだが今回の【時計台】の件だ。
この本の中ではまだ時計の無い時代だったみたいで【弱体術師】がこの時計台を作った事を始まりとして世界中に時計を発展させたと言う。
この本の発行から何年経っているのか定かではないが、少なくとも10年単位で時は立っているだろう。
それほどまでに本の劣化が激しいのだ。
そして【時計台】を修復して終えた部分でまた話が終わっている...。
「くそっ! この先が見たいのによ...」
先の展開が分かっているのであれば少しは楽になるのに、まるでネタバレを先にさせたく無いと言う意志を感じる。
しかし改めて見直すと俺はため息が出てしまう。
この【弱体術師】は他の勇者と同列に扱われているようなのだ。
俺と同じように【アイテム合成】も【魔物テイム】もできる。
「一体どこで差がついてしまったのかな...」
俺は本の中に存在している【弱体術師】に嫉妬しながら本をそっと閉じるのでした。
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