第150話 時計台建築
「爺さん、俺が新しい時計台を立ててやるよ」
俺はあの爺さんにそう言いました。
「本当にできるのか?」
疑い半分の眼差しで俺の事を見てくるので、一応付け足しておく。
「言っておくが前と同じ物を作れる訳じゃないからな。あくまでも新しい時計台を作ってやるだけだ」
「ああ、構わんよ」
「所で満足した場合の報酬なんだが...。金はいらない」
俺の発言に一番驚いていたのはラカラだ。
「ええ〜!? そりゃねえって兄ちゃん!!! それじゃ私働きぞんじゃんか!」
「五月蝿い! お前は黙ってろ!」
俺の言葉に頬を膨らませてむくれている盗賊少女は放っておこう。
「とにかく実物を作ってやる。それを見てから満足したかどうかを決めてくれ」
俺はそう呟くと標準を焼け落ちた時計台に向ける。
「【アイテム合成】クリエイト【時計台】」
『【時計台】を建築します。周りに人がいないか確認してください』
俺は周りに人がいないのを確認するとOKのボタンを押す。
すると...、メニュー画面が開いてすごい勢いで【分解した木材】が消費されていた!
『木材800個を確認しました。これより【時計台】を標準場所に創造します』
俺が標準を合わせていた場所がキラキラとか輝き始めたかと思ったら、一瞬の内に立派な【時計台】が建築されていました。
「これは!?」
と驚く爺さん。
「まあ、まずは中を見てくれ」
と俺が呟いたのだが爺さんは固まったままだ。
「爺さん?」
俺が固まったままの爺さんの肩を叩くと...。
「これはどうした事じゃ!? なぜ消失した時計台と瓜二つの時計台が建築できるんじゃ!? 一瞬で作れた事にも驚いたが、お前さんもしかして【建築士】の勇者様では!?」
一人で盛り上がる爺さんに俺は「違う!」と答えるのでした。
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