第147話 寝てたのか

「...はっ!?」


 俺は勢いよく飛び起きる。


「寝てたのか...」


 俺はちょっと休むつもりがすっかり寝いっていたらしい。


 ぐぐ〜っと体を曲げると横でだらしなく眠るラカラに足首を蹴られた。


「痛っ!」


「ぐへへ〜! 兄ちゃんくらえ〜!!!」


「どんな寝言だよ!」


 俺はそうツッコミながら皆の寝ている横を通り窓を開ける。


 夜風が程よく涼しく、宙を舞う桜の花びらに俺は視線を移す。


「夜桜って言うのも悪くないな」


 夜の町に桜が舞い落ちるシーンも充分絵になっていると思う。


 俺がしばらくそうしていると...。


「和希? 起きちゃった?」


 と優樹も目覚めた。


「優樹? もうちょっと寝てろよ。まだ朝まであるぞ」


「そう言いながら和希も起きてるじゃん」


「俺は先に寝てたみたいだからな、それよりも毛布ありがとうな」


 寝ていた俺に毛布をかけていてくれたのは恐らく優樹だろう。


 俺がそう思っていた通り、彼女が毛布をかけてくれていたらしい。


「まあね、あのままじゃ風邪をひいちゃうから」


 笑顔でそう呟く彼女は俺の隣に座る。


「綺麗な夜桜だね。日本での春を思い出すよ」


「そうだな...」


 俺は幼馴染と一緒に日本での思い出を話し合った。


 夏休みのとある日に海に行った事や冬休みに優樹の家でクリスマスパーティをしたことなどを語り合う。


 やっぱり気の合う友達と話し合うのは良いよな...。


 そう思っているといつの間にか朝になっているのでした。

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