第148話 ハルカリアンの時計台
俺たちがギルドに向かっていると広場にある焼け落ちた時計台が目に止まる。
「あれは確か...」
「【弱体術師】に燃やされたハルカリアンの歴史ある時計台じゃ」
とお爺さんが声を出した。
「あんたは?」
「この町で70年にわたってあの時計台の修理をしておった者じゃ。まあもうその役目は終えたがの」
そう言いながら悲しそうに時計台を見ている。
「【弱体術師】を見た事があるのか?」
と俺がお爺さんに聞くと首を縦に振った。
「ああ、恐ろしいお方じゃった...。両の手から巨大な炎の魔法を放つ【賢者】のような人物じゃったが、あれは間違いなく悪名高い【弱体術師】の仕業に違いない!」
「あっ...、所でなんで【弱体術師】は時計台に入りたかったんだ?」
「それはわからんが、何やられああいてむとやらが時計台の中にあったらしいぞ」
それを聞いた俺は心の中で叫んだ。
(...石川の奴何やっとるんだー!!! と言うかそれ絶対に冤罪だよな!?)
レアアイテムが時計台の中にあって取れないからって焼き払うか普通!?
なんだかこのお爺さんが不憫に思えて来た俺はとある事を思いつきました。
「お爺さん、歴史ある時計台じゃなくてもいいんなら方法はあるぞ」
「それはどう言う...」
「俺が新しい時計台を作ってやる」
いきなりとんでもない事を言い出した俺を止めようとする仲間達。
「和希!? 流石にそんな時間はないでしょ!?」
「和希様!? どうやって作ろうと言うのですか!?
「そうだよ兄ちゃん! 絶対にそんな事無理だ!」
まあ、普通に考えれば無理だろうな。
だけど俺にはアイテム合成がある。
俺がアイテム合成のスキルツリーを見て変な物があることに気がついたのだ。
「【時計台】? なんだこのアイテム...」
最初こそそう思っていたのだが、恐らくこのイベントの為のアイテム合成だろう。
必要アイテム数が多すぎて作る気になれなかったが、これほどのイベントなのだ。
きっと報酬も良い物が手に入るだろう。
「一体どうやって時計台を作るつもりなんじゃ?」
と聞いてくる彼に俺は「企業秘密だ」とだけ答える。
【アイテム合成】で作るなんて言っても信じてくれないだろうから嘘も方便とはこのことだろう。
俺たちはギルドに向かい依頼をこなしながら時計台に必要な素材【木材1000個】を集め始めるのでした。
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