第127話 次の日

 俺達が宿に泊まった次の日。


「【弱体術師】!!!」


 宿の前に出ると昨日出会った兵士長が剣を俺に突き立てながら現れた。


「なんだ? 俺達はもう行くぞ」


「待て!! 貴様には王に報告せねばならないことがあるだろう!」


「報告? 何を?」


「とぼけるな! 勇者様と賢者様を出し抜き今回の話題を攫った罪を懺悔する事に決まっているだろう!」


「...はあっ!?」


 思わず変な声が出た。


「俺が佐藤と石川を出し抜いた? 逆だろう? 奴らが俺達に手柄を与えないようにした事で自分達が勝手にやられたってだけの話だ」


「貴様ぁ!!! 罪を認める気はないのだな!! ここで私がお前を粛清してくれる!」


 などと言いながら兵士町が攻撃してきたのだが...。


(うわおっそ...。いつもシュナの動きを見ているからか一般兵の動きが遅く見えるな)


 俺は軽くやつの軸足に足をかけて転ばせる。


「ぬお!?」


 面白い声を上げながら倒れる兵士を見て俺は笑った。


「何1人で倒れてんだよ。お前」


「気様! デバフを使ったな! そうでなければ私が貴様なんぞに遅れを取るはずがない! 卑怯者の【弱体術師】が行う手口だ!」


(お前にはデバフなんて使ってないんだがな...)


 再び襲ってくる兵士に俺は【幻影剣】で拘束する。


「貴様! 逃げる気か!?」


「逃げる? 違うな。王に伝えておけ。俺たちの邪魔をするなと。もしもこれからも同様な事を続けるのであれば貴様の命を貰い受けるとな」


 俺の言葉に驚愕した様な声を上げる兵士長。


「お前たち!!! 聞いたか!? 今の言葉を! こいつはあろうことか陛下の命を狙うそうだ! この不届き者を今すぐ始末しろ!」


 そう言うと周りの兵士たちが一斉に剣を抜くのだが...。


「【束縛】」


 の魔法だけで全員を動けなくしてやった。


「貴様ら! それでも王を守る盾か!? 根性を見せい!!!」


(一番最初にやられたくせに声だけは大きいな)


「待て!! 逃げるな!! 卑怯者!!!」


(待つわけないだろ、この低脳集団が!)


 俺たちが駆け出すと「こっちにきな!」とクラールが声を上げるのでした。

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