第116話 ルーリエッタ戦線④
〜2時間後〜
「...遅い!!」
あれだけ自信満々に走って行ったのにまだボスを倒せないのか!? 佐藤と石川は!
無限に湧き出してくるアンデットの軍勢に痺れを切らす俺。
だが俺たちが退けば町が危ない。
「くそっ...どうすれば...」
そう思った矢先だった。
「オラオラオラ!! 道を開けな! ボーヤ!」
背後から大きな声を上げながら派手な格好の女盗賊が現れた。
赤髪で豊満な胸が特徴的だが、今はそこを見ている場合ではない。
「お前は!?」
思わずこいつの名前を聞く。
「んっ? 私かい? 私はクラール。この町を占めている女盗賊さ!」
歪曲した短剣をこちらに向けてこう言い放った。
「待たせたね、腰抜けの部下どもを説得するのに時間がかかっちまったがもう大丈夫だ。あんたらの戦いぶりを見て腰抜け共も吹っ切れた。ここからは自分たちの島は自分たちで守るさ! だろう? 野郎共!!」
「「「「オオオオオオ!!!!」」」」
盗賊達が大声を上げながら町を守るためにアンデットの集団へと向かっていく。
「ここは私達に任せな! あんた勇者の1人なんだろう?」
ニヤリと笑うクラールに俺はこう呟いた。
「...恩にきる」
「なあに、こちらこそ町を守ってくれてありがとうと言いたい所だよ」
俺はクラールに町の防衛を任せて【幻影翼】を広げた。
できるだけ大きく【幻影翼】を展開して影を集めて【擬似幻影龍】を作り上げる。
これも派生技だ。
『【幻影翼】→【擬似幻影龍】』
「【幻影翼】→【擬似幻影龍】」
「皆! 乗れ!!!」
俺の言葉に全員が【幻影龍】へと乗る。
1人を除いて...。
「スッゲー! あの時のドラゴンじゃん!」
目を輝かせながら若干興奮気味のラカラを俺は抱き上げた。
「行くぞ!!」
俺は【擬似幻影龍】を操り、空高く飛翔するのでした。
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