第109話 【幻影龍】③

 【幻影龍】を倒したので俺は戦利品を見てみる。


『EXP15000を取得。ドロップアイテム【幻影の宝珠】を入手しました』


「これが【幻影の宝珠】!」


 吸い込まれそうな程に黒く染まる宝石のように綺麗な龍の瞳を手に取る。


「これって目玉だったのか」


 俺がそれをまじまじと見つめていると...。


『【幻影の宝珠】を手にしたことで以下の魔法を取得します。【幻影剣ファントム・ブレード】【幻影盾ファントム・シールド】【幻影翼ファントム・ウィング】』


【幻影剣】とか言ういかにも攻撃用の魔法に見える【束縛】魔法を取得した。


 さっきシュナが使われていた拘束魔法が恐らくこれだろう。


 束縛魔法と併用できるみたいなのでそれなりに強力そうだ。


 しかもこちらの方が発動が早く影さえあればいつでも発動できるっぽい。


 しかし、対象者が1人だけと複数の相手を敵にするのには向いてないようだ。


 俺が取得したスキルをもう一度見ていると...。


「これが【幻影の宝珠】! これさえあれば私はクラールの一味に入れるんだ! もう食いっぱぐれる事もない!」


 などとラカラが言い出しのでいい事を思いつく俺。


「おっ、そうだな、所でそんなお前にいい情報があるんだが聴きたいか?」


「良い情報?」


「ああ、実は俺は異世界から召喚された勇者の1人なんだ」


「なんだって!? それは本当なのか!?」


 俺は嘘は言っていない。


 異世界から召喚された勇者の1人というのは間違いではないからな。


「ああ、本当だ。だからお前俺についてこないか? お前のピッキングの技能は色々と役に立ちそうだからな。最低限の衣食は補償してやる」


 住は補償しないがな。


「食いっぱぐれないのなら兄ちゃんについて行くのも悪くないかな?」


 言葉巧みにラカラを仲間に引き入れる俺。


 今回のようにシュナが拘束されて攻撃役がいなくなってしまうケースがこれから先に発生するかもしれない。


 その時のために使えそうなコマは1人でも多く確保しておきたいからな。


「じゃあその前にちょっとここの財宝を摘んでいこうかな...」


 そう言いながらラカラが財宝を手に取ると、財宝が溶け始めて毒ガスが蔓延し始めるのでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る