第92話 盗賊

「おい! そこの道ゆく馬車よ! 止まって貰おうか?」


 そう声がしたので俺たちは外を見てみる。


「山賊か...」


 どっからどう見ても盗賊っぽい男達が10人ほど馬車の周りを囲んでいました。


「さあ、全員出てこい!」


 そう言われたので大人しく出て行くと...。


「おっと? 野郎ばかりかと思いきや上玉の姉ちゃんがいるじゃねぇか...」


 ぐひひと優樹の事を見つめてくる盗賊の目線がいやらしい。


「和希、なんかあいつの視線やだ」


「奇遇だな。俺もだ」


 俺の言葉に「野郎は黙ってろ!」と怒声を上げる盗賊。


「何で黙る必要があるんだ?」


「てめぇ...。良い根性してるじゃねぇか! 覚悟はできてるんだよな?」


「お前らこそ、こんな事して覚悟できてるんだろうな?」


 俺の言葉にキレ散らかした盗賊の男がナイフを振り回してきたので【束縛】の魔法をかけた。


 地中から鎖の海が現れて奴の体を繋ぎ止める!


「【束縛】の魔法だと!? こんなガキが魔法を使うのか!?」


「そのまま地面に頭を擦りつかせてやるよ!」


 俺は【束縛】の魔法を操り奴を地面に倒してやった。


「ぐっ! ガキは後だ! 他の奴を人質にしろ!」


 倒れた奴が団長だったらしく他の奴に命令を出している。


(おいおい、ガキに良いようにやられてる大人ってクッソかっこ悪いな)


 俺はため息を吐きながらシュナに襲い掛かろうとしている奴に言ってやった。


「そいつを人質にとる気なら俺より難易度高いぞ? やめとけって」


「けけけ嘘を吐くな。こんなガキの嬢ちゃんに何ができ...」


 そこまで言いかけた瞬間にシュナがそいつを蹴り倒した。


「和希様。全員ぶっ倒しても構いませんよね?」


「ああ、全員倒してやれ」


 俺の命令の後は本当に一瞬だった。


 シュナがまとめて6人倒した後に逃げ出した奴らを俺が【束縛】の魔法をかけて逃げられないようにした。


「くそっ! 俺たちはここら辺を縄張りにしているクラール様の配下だぞ! こんな事をしてタダで済むとでも...」


「そう言うの良いから、お前の装備を全部剥がさせてもらうな」


 取り敢えずこいつらの武装を解除してからその場に放置する。


『EXスキル【盗みの基本動作】を入手しました』


「じゃあな、また襲ってきたら今度はパンツも剥がしてやるから覚悟しとけよ」


 奴ら全員をパンツ一枚の格好にしてから道の端っこに並べて【束縛】魔法をつけてやった。


「くそっ〜!!! 覚えてろよ〜!!!」


 何か大声で言っていますが俺には聞こえませんねぇ...。


 俺たちの活躍により損害なしで切り抜けたので民間人からは称賛の声が上がるのでした。

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