第93話 称賛の声
「本当に助かりました」
と馬車の主人が俺に声をかけてくる。
他の者達も俺たちに礼を言ってきたが俺はそんな事くらいでは酔わない。
「おい、後で迷惑料を請求するからな」
元はと言えば護衛もつけずに運び屋をやっている店主のせいですから、俺が迷惑料をせしめるのも悪くないだろう。
まあボディガード代だと思って諦め貰うしかないな。
「はいはい大丈夫です。貴方達からは今回の郵送代金を頂きません」
「むっ...なるほどそうきたか」
したたかな店主の提案にここは乗っておこう。
盗賊から身包み剥いだお陰で多少の金策になりそうだしな。
俺がコクリと頷くと店主はニッコリとした笑顔で再び馬車を走らせる。
「ハイヨー!」
ぱしんと馬にムチを打ち加速するボロ馬車。
息をつく俺を見た他の乗客達が一斉に群がってきた。
「兄ちゃんまさかクラールの部下に手を出すとはな...。もしかして命知らずかい?」
なんて言われたので「クラールなんて奴は知らん」と答える。
「クラールを知らないとは兄ちゃん達は田舎から出てきたのか?」
なんとも言われたが本当に知らないから知らんと言うしかない。
俺が奴らの声を無視していると何故か「アニキ! 俺を弟子にしてください!」などと言われてなんかパーティに入りたそうにしているゴロツキまで現れ出したので本当に面倒くさく感じるのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます