第85話 シュナの覚悟
「はぁ...はぁ...はぁ...」
俺は異世界に来てから初めて殺人を犯した。
人を殴り殺す感触が手についてしまったというのに何なのだろうか? この言い表せない満足感は...。
「人間のクズを殺すのって気持ちがいいんだな...」
日本にいた時の俺なら絶対に口にしない事を呟く。
『EXスキル【殺意の波動】を取得しました。これからは明確な殺意を持って他者を攻撃した場合に限りその攻撃力が2倍になります』
興奮状態が収まってくると俺は今の状況を思い出した。
「そうだ! フォルト!!」
俺は急いで【回復薬】を取り出したのだが時すでに遅く、彼は帰らぬ人となっていた。
その側で涙の粒を流しているシュナの姿を見た俺は何と声をかけていいのかわからなくなってしまう。
「シュナ...」
俺の言葉に「和希様...」と呼ばれたのでビクッとした。
俺は彼女にどれだけ罵倒されようと受け入れるつもりだ。
俺がここに来たせいでフォルトは死んだのだ。
「なんだ?」
ビクビクしながら彼女の声を聞く。
「これからも
いきなり一人称が変わる彼女に俺は違和感を覚える。
「父様が死の間際に言っていました。これからは高坂和希様に仕えて共に小鳥遊様を支えるように...と。それがレイスタン家の第一継承者である僕の役目なのだと!」
「いきなりどうした? 俺を責めないのか?」
「僕は貴方を責めません。確かに父様が死んだことはショックです。ですが父様は和希様の事を恨んではいけないと言っていました。なので僕は貴方の事を恨みません!」
確かな意志を持ってそう呟く彼女の瞳には力強い意志が宿っているのでした。
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