第81話 神父⑥

「ぐぬぬ!! 【弱体術師】の分際でぇぇ!!!」


 怒りくるう神父に俺は言ってやる。


「俺を舐めすぎたな。まああの世で反省しろ」


 動きが遅くなり攻撃力が弱まった奴に優男の魔法が炸裂する。


「これで終わりです【爆裂魔法】!」


 神父を中心に小規模の爆発を何度も起こして大ダメージを与える。


「うぉぉぉぉぉ!!!」


 奴は断末魔を上げながらその場に倒れた。


「終わったか?」


「流石のフィル神父もこれだけの魔法を受けてはただではすまないでしょう」


 俺と優男が喋っていると、シュナの奴が今更姿を現した。


「お前どこに行っ...」


 そこまで言いかけた時に俺は言葉を止めた。


 なぜなら彼女が呪いで苦しむ優樹を背負っていたからだ。


「父さまの命令で小鳥遊様をシスター達から奪還してきました」


 所々汚れているので彼女は別の場所で戦っていたのだろう。


「さあ、時間がありません。私に小鳥遊様を!」


 その場で優樹を横にして回復魔法をかける優男。


「シュナ。シスターから【聖水】は奪ってきましたか?」


「はい父さま。この通りちゃんと【聖水】を取ってきましたよ」


 そう言いながら【聖水】を取り出すシュナ。


「シュナ。よくやってくれました」


「はい。お父様の頼みならば...」


 優男はそのまま優樹の体に【聖水】をかけてから口元に少しだけ含ませた。


「呪いにはこうやって外と中から【聖水】をかけるのが1番効果が高いんです」


「そうなのか?」


「はい、状態異常百科にある【呪い】状態の項目の所を見てください。そのように書いているはずですよ」


「お前まさかこの部屋の本全部暗記してるとか言わないよな?」


 その質問に彼は笑顔で答える。


「していますがなにか?」


(うん...こいつはまごうことなき【狂人】だよ)


 俺は知っている。


 優男のEXスキル欄に【狂人】がある事を。


 どう考えてもこいつの【狂人】のスキルはこの読書好きなところだろうと思うのでした。

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