転生屋~ココではないドコかえ。市民も罪人も、私の大事なお客さまです!~
SKY
第1話
はぁはぁはぁはぁ
俺は、ある人に追いかけられ、逃げる為に暗くて狭い路地裏を逃げていた。
(捕まったら、死ぬ)疲弊しきった体はそれを原動力に動いていた。
プルプルプルプル
いきなり電話が掛かってきた。ドギマギしながら携帯の着信画面を見ると、そこには。【美咲❤】と書かれた文字があった。
俺は焦り電話を切った、そしたら ピコンピコン♪ 呑気な音と共に、LINEにメッセージが来た。再び携帯の画面を見ると【美咲❤】と書かれていた、そして、名前の下を見ると《画像が送られてきました》と書かれていて気になりLINEを開き見てみると、俺が後ろ向きで怯えながら携帯を見る姿が写っていた、その写真を見た瞬間に携帯を投げ捨てて、また、走り出した。
(殺さされる、何で俺の場所が分かったんだ。クソっ、クソっ!!)
他のモノに目もくれず走っていると、石につまずいてしまった、立ち上がり周りを見ると、一軒だけ灯りが付いている店があった、店に匿ってもらうために店に入ろうとすると、後ろから、声をかけられた。
「そんな所でなにをしてるの、早くコッチにおいでよ」
その声は、何年も聞いたことのある声で俺が愛していた人で、今、一番会いたくない人の声だった。俺は、震えあがり急いで店の中に入った。
「いらっしゃいませ、あらら、こんなに汚れてどうしたんですか」
店の店主が話かけてくるが、疲れ過ぎているせいで内容が入ってこない、俺は、人に会ったことで気が抜けてその場に倒れてしまった。
目が覚め周りを見ると、色々な酒や本などがキッチリと棚に陳列していた。
「やっと目が覚めましたか」
部屋の奥から爽やかな声が聞こえてきた、部屋の扉が開きその人を見ると、黒髪で瞳が赤くスラっとした体形の持ち主だった。
俺は、ソファーから降り男にお礼を言った。
「すいません、迷惑をかけてしまいました」
「いえいえ、大丈夫ですよ、それより体調は大丈夫ですか」
「は、はい、もう大丈夫です、お礼をどうすれば」
「お礼なんか気にしなくていいですよ」
男はそんなの気にしないよって感じだった。
「いや、お礼は必ずする、でもあいにくだが俺は、今なにも持っていないんだ、代わりになんだが他の事で何かする事は無いか?」
「そうですね~、では、貴方が昨日の夜に起きた事を教えてください」
俺は、素直に昨日起きた事を言った。
「昨日の夜、彼女と過ごしていて、彼女がそろそろ結婚しないかって言ってきたんだ、でも俺は全然、結婚の事なんて考えていなくて、イヤまだいいんじゃないか、って言ったんですよ、そしたら彼女がいきなり怒って俺の携帯を取ったんですよ、特に俺は、やましい事なんてしていないから取り返そうともしなくてそのままにしていたんですが、彼女が俺の携帯の写真ホルダーを見て、俺に携帯を見せてきたんですよ、でもその画面には俺と元同期の女の子が写っている写真で、同窓会で撮ったモノでとくにやましいモノではなかったんですが、彼女が勘違いをして俺が浮気したと思い込んでいて台所から包丁を持ってきて俺を殺そうとしてきたからて慌てて家から出て、逃げていたらここについたんだ」
俺が、話している間、男は特に何も言って来なかった。
「まぁ、こんなものですよ、特にこれからやることもないから適当に生きていきますよ」
俺は、自分で言って悲しくなった。
「では、貴方に一つ提案があります」
今まで、黙って聞いていた男が口を開いた。
「異世界に興味ありますか、アニメとかゲームとかに出てくる世界にですよ」
「異世界?」
「えぇ、そうですよ」
「まぁ、興味はありますけれども」
男は、微笑んだ。
「異世界に行けたらどうしますか、行きたいですか?」
男は、食い気味に聞いてきた。
「まぁ、行きたいですね」
異世界に行けるわけ無いと思いながら、冗談交じりに行った。
「行きたいのですか、ちなみにこの店の名前をご存じで?」
俺は、昨日の夜の事を思いだしながら店の名前を思い出そうとするが、昨日の俺は、焦ってこの店にきたので店の名前を知らなかった。
「すまない、昨日は焦って店の名前を見ていなかった」
「そうですか、では、この店の名前は転生屋と言います、そういえば私は名前を名乗っていませんでしたね、私の名前は、出雲輪廻といいます」
「転生屋?」
「はい、転生屋です、この店は、今の人生に不満、退屈、絶望、などなど負の感情を持った人に異世界でもう一度人生を、楽しんで欲しいと思い開業しました」
「異世界に行こうとしたら本当に行けるのか?」
「はい、もちろんですとも」
俺は、考えた。異世界に行くとしても永遠にそこに居るのかと、一定の期間だけ行って帰って来れるのかどうか。
俺は、考えた末に
「特にこの世界にもうやることもないし、異世界に行ってもいいかな」
「では、異世界に行くでよろしいでしょうか」
「あぁ、ちょっと気になるし行こうかな」
「分かりました、では、この契約書にサインをお願いします」
男は、紙を俺に渡して来た、色々と異世界に行く方法についての説明などが書いてあった。
「サインしたぞ」
「そうですか、ありがとうございます、では、異世界に行くにつれ色々と説明があるので、この紙を見てください」
出雲は紙を、もう一枚出して来た、その紙をよく見ると、
1、記憶の引継ぎ
2、身体の引継ぎ
3、転生後の身分&生活について(あれば)
・・・
色々な事が書かれていた。
「では、色々と説明させていただきますね、まず記憶の引継ぎについてですが、どうしますか」
「引き継いでくれ」
「次に身体は、どうしますか」
俺は悩んだココで身体をどうするか、悩んだ挙句、
「引継ぎ無しで、できれば赤ちゃんからがいいな」
「そうですか、分かりました、次に身分と生活様式はどうしますか」
「やっぱり、貴族でいい生活がしたいな」
「そうですか、分かりました」
その後も、色々と聞かれた、最後の質問が終わり、出雲がこの世界にやり残した事があったら今から三日間あげますので、悔いが残らない生活をして来てくださいと言われた、しかしやることは沢山あるけれども、今外に出ると殺されてしまうかもしれないと思い中々外に出る勇気がない。
「どうしたんですか」
扉の前で動かない俺に声をかけてきた。
「いや、外に出る勇気が無くてね」
「そうですか、もしよろしければ、一緒についていきますよ」
「いやいいです、もう異世界に行きます」
「そうですか、ではこちらに来てください」
そう言われて奥の部屋に行った、そこには大きく魔法陣らしきものが書かれていた。
「この真ん中に寝てください」
指示に従い動く、そしたら、出雲が何か呟きそれに反応するように魔法陣も光始めた。
「では、第二の人生を楽しんでくださいね」
「あぁ、短い間だったがありがとう
そうして、俺は異世界に行ったのあった。
視点 出雲 輪廻
「ふぅ、久々の魔法はやっぱり、疲れますね、お客様が次の人生で楽しめますように、では、後片付けをしますか」
出雲は、そう言ってさっきまで生きていた人の体を魔法陣で燃やした。
「いや~、転生の際に体を引継ぎをしなかったらこうやって処理するのがめんどくさいから、辞めて欲しいな~」
男の体が燃え尽きると、再び店に戻り書類などを棚にしまったり、しながら次のお客様を待っつ。
カランカラン
と、また扉が開く音がする。
「いらっしゃいませ」
そう言って次の人にも接客をするのであった。
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